75 正直な感情 ページ26
「ふっ…あははっ！ キモい…って…〜〜〜っ！」
突然緩んだ空気に、堪えきれず吹き出した。
悟さんが自分のことをキモいって言うとは思わなかった。
「いい大人が離れたくない〜って泣きべそかくとかウザいじゃん……キモい…って硝子にいつも言われるし…」
不貞腐れた声音でぶつくさ文句を溢した悟さんの、深い自嘲のため息が首筋をかすめた。
そのくすぐったさも相まって止まらない笑いを溢しながら、それでもずっと私にくっついている悟さんを私からも抱きしめ返す。
「大人だって、何歳になったって、寂しいものは寂しいし、傍にいて欲しい、離れたくないって思うし、感情が揺さぶられたら泣いたっていいんです」
「大人だからこそ、そういう正直な感情を見せてくれた方が、私は安心します」
ギュッと私を包む腕に力が込められた。
少し息苦しいくらい。
けれどその分だけ、落ち着く温もりと切なく疼く想いが私の身体に染み込んだ。
「Aのそういうところ、ほんと好き」
「そういうところ…って、どんなところですか？」
「僕を無償で受け入れてくれるところ。ワガママ全部許してくれるところ。他にもいっぱい」
「意識、したことないです…」
「うん…だろうね。僕だけじゃない。多分みんなにそうなんだ。悠仁にも、宿儺にも…」
間違いないと言わんばかりに断言されて、そうなのかな…と、自分の振る舞いを辿って過去の記憶を探る。
けれども、自分では良く分からない。
「君は誰のことも否定しない。全て受け止める。最悪の呪詛師と言われて嫌悪の象徴とされていた傑に逢っても怖くなかったみたいだし…」
「それは…悟さんの“親友”だって聞いていたから…」
実際に接してみた夏油さんは、柔らかい物腰に穏やかな声音で…
わざわざ私に悟さんへの伝言を頼みに来たところを考えても、とても真面目で優しく思いやりのある人なんだと思った。
それに…
恐怖よりも憧れの方が強かった。
学生時代、悟さんといつも一緒にいた人。
夏油さんが高専を追放されるまで、二人でどんな楽しい学生生活を送っていたのだろうと想いを馳せると、羨ましくて堪らなかった。
私も二人と同じ世代に生きたかった。
そうすれば、今の悟さんの心の痛みや苦しみに、もっと深く寄り添う事が出来たのに…
「ねぇ、親友だなんて誰が言ったの？ 僕、一度も傑を親友だって言ったことないんだけど」
「え…でも、硝子さんも夜蛾学長も、お二人は親友だったって言っていましたよ？」
「……。なんっだよ……硝子も先生も…勝手なこと…ッ」
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
