74 “救いの女神” ページ25
「怒りや妬みを含む感情は、辛くて苦しくて、悲しくて寂しくて…呪霊は何かしらの救いを求めた想いが形になっただけで…呪いは本来、元を辿れば人間です」
「私には彼らが人間に見えてしまうから…どうしても…もう殺せない…」
「それと同時に、人間の醜さに嫌気が差したのもあります。どうしてこんなに辛い思いをしてまで、何も知らない非術師を守る為に、命を懸けて戦わなければならないのかと…」
「正直、私の術式じゃ大した戦力にはなりませんし…」
一度止まってしまえば話せなくなる…
そんな焦りから、自嘲の笑みで気持ちを誤魔化しつつ、一気に言葉を吐き出した。
悟さんは私を抱き寄せたまま、静かな息づかいで聴いてくれていた。
「夏油さんの気持ちが明瞭に分かるんです、私。だから呪術師を辞めました」
「あのまま続けていたら、いつか…彼と同じように、人を呪い殺してしまうかもしれない…」
「それが…ずっと、怖くて…ッ」
引きこもるように、高専の医務室に入り浸った。
見かねた硝子さんに「そんなに
体よく外界と遮断できる手っ取り早い方法は、この高専の敷地内から出ないこと。
接するのが呪術師だけであれば、あの恐ろしい悪意を感じることはないから…
心の奥底に意識を沈ませていると、不意に、そっと、唇に柔らかな温もりが触れ、唐突に意識が現実に戻ってきた。
何も前触れが無かったから、目をつぶることもしなかった私を見て、悟さんがふっと小さく息を吐いて微笑んだ。
「僕さ、Aと一緒に居ると癒されるんだ」
「傑との別れは本当に辛かったけど…その痛みすらも、Aと居れば昇華される」
「まさに“救いの女神”だね」
夏油さんと同じように、ひとフレーズずつ、ゆっくりと紡がれる言葉。
やっぱり同じ時間を一緒に過ごした仲間なんだなぁと思う。
「Aは呪術師じゃなくても僕を救ってくれるんだ。いつだって」
「だからずっと傍にいて欲しい。僕の隣で笑っていて欲しい」
「…どこにも…行かせたくない…離れたくない…ずっと…ッ…ここに…ッ」
言葉を詰まらせ、私を抱きしめて首筋に顔を埋めたままピクリとも動かなくなった悟さん。
…？ まさか寝ちゃった？
「悟さん…？」
「ごめん…ただの独り言…聴かないで…」
めちゃくちゃ小さい声で訴えてくる。
何これ、もしかして照れてるの…？
可愛い…♪
「ちゃんと聴こえました」
「恥ずかしいから記憶から抹消して」
「嬉しいから嫌です」
「…嬉しい…？ キモくない…？」
え、キモ…？
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
