71 偶然の出逢い ページ22
「親友…だったんだ…ッ…誰よりも信頼してた…ッ」
『これでもさ、心残りはあるんだ』
偶然出逢った任務の帰り道。
雑踏の中、道の端で呟かれた独り言みたいな本音。
けれど私の耳にも心にも、その想いはちゃんと届いていた。
「…なのに…気づいてやれなかった…俺…自分の事ばっかで…ッ」
『どんな理由を語ろうと、何も告げずに突然…裏切った事に変わりはないからね』
忘れてはいけない、大切な言葉たち。
流れるように続いた本当の想い。
「止められなかった…ッ…あの時、もっと…ちゃんと話を聞いてれば…ッ」
『けれど私は、悟に止めて欲しかった訳でも、後悔して欲しい訳でもないんだ』
いつしかすれ違い始めてしまった想い。
ついに背中合わせに見つめた、お互いの
悟さんの対に立つ彼が、ひとつずつゆっくりと紡いだ言葉。
伝えるという約束──…
「悟さん！！」
「び…っくりした…何、どうしたの？」
ガバッと音を立てて半身を起こした私に、咄嗟に腕の力を緩めた悟さんも少し起き上がった。
「私、悟さんに言わなきゃならないことが…あって…」
「…なに…？ 別れたいとかじゃなきゃ…聞く…」
怯えて威嚇する野良猫みたいな眼差しと声音で牽制されて、
「違っ…そうじゃなくて！」
慌てて否定した。
悟さんの想いを聞いた今、あの日の彼との約束を果たさなければならない。
けれどその高揚と焦りから、なかなか言葉が浮かばない。
落ち着いて。
ゆっくりでいい、しっかり思い出して。
確か…
『私は夏油傑。思いがけず有名人になってしまったから、名前くらいは知っているだろう？ Aさん』
呪術界では誰もが知っている“五条悟”の同期、“夏油傑”。
あの日、任務の帰りに立ち寄った街中で、彼の顔も姿形も知らなかった私の前に、夏油さんは薄い笑みを浮かべて現れた。
『もし悟がさ、私の事で落ち込んだり、悩んだりしていたら伝えて欲しいんだ。君の口から君の言葉で』
『どうして、私なんですか…？』
『君が特別だからだよ。悟にとっても、私にとってもね』
そう言って隣で私を流し見た夏油さんは…
実の両親を含む100人以上の人間を呪殺したとは思えないほど、穏やかな微笑みを
「悟さん、私、夏油さんから大切な伝言を預かっていたんです」
「は…？…傑に会ったの！？ いつ、どこで！？」
ずっと秘めていた事実の説明を急かされる。
“夏油傑”は、私が高専に入学した時には既に、“呪術高専を追放された最悪の呪詛師”として学生達の間でも有名だった。
*
72 伝えたいこと→←70 大切なものひとつ〈貴女&五条side〉
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
