70 大切なものひとつ〈貴女&五条side〉 ページ21
「あの、待ってください！ 少し話を──」
「──だめ。待たない」
「じゃあせめてシャワー浴びてから──」
「──そんなの、終わった後でいい」
帰って早々、悟さんの部屋を訪ねると任務はサボったのか終わったのか、すぐに出迎えられて言葉を交わす前に強く抱きしめられた。
そして、部屋に引き込まれてキスで追い詰められ、即行でベッドに組み敷かれて今に至る。
こんなに強引な悟さん、初めて…
そう…“初めて”、なのに…
完全な拒絶が出来ないくらい。
「とにかく、まず先にAを愛させて。話はそのあと」
「…っ」
悟さんの不安と焦燥、悲哀の感情が、肌に触れる唇から体内に流れ込んだ気がした。
思わず泣きそうになるのをグッと唇を引き結び堪える。
悠仁くんが言っていた通り、やっぱり悟さんは知ってるんだ。
私がもう少しでこの世界からいなくなること…
熱い唇に、手の平の温もりに、深く刻み込まれた『好き』の愛撫が降り注ぐ。
こんなの、拒めるはずがない。
全身全霊で『愛してる』を伝えてくれる悟さんを
火照らされた両腕で
私からも、そっと抱きしめた──…
【五条side】
未だ熱を持ったままの肌を擦り合わせて、腕の中にすっぽりと収まる小さな身体を抱き寄せる。
「ごめん…強引すぎた…？」
「はい…でも…」
不安と焦燥が胸の内を襲い、Aの体温を感じて安心したかった。
自分勝手なのは昔から。
いい大人になっても変わらない。
「…Aがあまりにも可愛い反応するから止まれなくなった…」
こうしてすぐ、大人げなく責任転嫁もする。
硝子の言う通り、本当に『クズ』だな。
「私…悟さんには何も我慢して欲しくないです。困っても迷惑でも…」
「何でそんなに…ッ」
今欲しい言葉をくれるんだろう。
どうして無償で僕を受け入れてくれるんだろう。
こんなどうしようもないヤツなのに…
思い悩んでいた親友の想いに気づくことも、助ける事も出来なかった最低なヤツなのに…ッ
「…僕は…君が傍にいれば他には何も望まない」
「私だけなんて…もったいないです。悟さんなら他にも──」
何も知らないAは、小さく肩を震わせてクスクスと愛らしく笑っている。
大切なものを大切だと、今度こそ全身全霊で護りたい。
あの時みたいな想いはもう二度と味わいたくない。
大切なものをひとつ手にする為に、この告白は必要な事だと納得した。
「──いいんだ。どんなに願っても、傑は戻って来ない」
「…夏油、さん…？」
「俺が…ッ…殺したから…」
声が喉に詰まる。
ほんと、情けないなぁ…
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
