52 救出 〜過去編�◆繊匕涵�side〉 ページ3
可愛い生徒を傷つけられたら黙ってはいられない。
「A！ 居たら返事して！」
「……せ…んせ…？」
何っだよ、この生得領域！？
廃屋に入った途端に広がった、術式の付与されていない生得領域。
書類…？ 真っ白な紙の束が数えきれないほど積み上がり、天井まで続いている。
か細い声を頼りに書類を掻き分け進むと、大量の紙に埋もれたAを見つけた。
「A！ 良かった…」
「五条…先生…ごめんなさい…」
「すぐに助ける！ 目ぇつぶってて！」
術式順転・蒼の収束の力で大量の紙を吸い込み、意識の薄いAの力が抜けた身体を抱き上げた。
入口を閉ざされた今、ここを出るにはあの天井まで登り、こじ開けなければダメらしい。
「A、しっかり僕にしがみついててね」
「…は…い…」
力無く答えるAを背負うと、首にスベスベの肌が触れ、Aの両腕が絡み付く。
背中にも柔らかな温もりを感じて…
うーん…これはかなり…役得かもっ♪
山積みの書類に足場を探しつつ天井まで登り、ぶち抜けそうな場所に手の平を当てて…
「術式反転、赫」
──ボンッ！！
加減に気をつけて必要最低限の力で穴を開けた、その時。
「ンン〜…？」
特級と思われる呪霊が見下ろした先に現れた。
あれか…Aをここに閉じ込めたのは。
「少しお仕置きが必要だね」
Aを領域外に出し、再び僕だけ生得領域に舞い戻った瞬間。
特級呪霊はすぐ目の前にいた。
至近距離で放たれた呪力の塊に飛ばされ、紙の束の中に落とされる。
「これは中々…でも…」
無限で身体中をコーティングしているから、攻撃は当たらない。
首を傾げる呪霊目掛けて一瞬で間合いを詰め…
──バシュウゥゥ…
「これじゃあ僕には勝てないよ」
壁に押し付けて、術式で跡形もなく消し去った。
と、呪霊が居た場所からポロッと何かが転がり落ちた。
それが…
「指…凄い呪力。特級呪物か…？」
高専に持ち帰って判明した特級呪物『宿儺の指』。
けれど、宿儺の指を取り込んだ呪霊が、何故Aの任務地に現れたのかは不明とされた。
「やっ！ A」
「五条先生」
上への報告を済ませて、医務室で硝子の診察・怪我の処置をしているAを訪ねると、大した怪我もなかったらしく、僕を見て微笑んでくれた。
「助けてくれてありがとうございました」
「当ったり前でしょー、Aは僕の大切な生徒なんだから」
「……はい…そう、ですね…」
ゆっくりと笑みを広げたAに、僕も口元を緩めた。
Aの笑顔は、いつも僕の心を穏やかにする。
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
