67 約束と“縛り” ページ18
「なんて…かっこつけたこと言ったけど……単に、俺には止める力も権利もないってだけ」
「なんで…」
やっとのことで絞り出した私の言葉は、まったく力の無い気の抜けた声音で発せられた。
くらりとした眩暈と共に、焦点も合わなくなってくる。
まさか、悠仁くんに勘づかれるとは思いもしていなかったから…
「今日はさ……最後のつもりで俺とデートしてくれたんだろ？」
「気づいてたの…？」
悠仁くんは居心地悪そうに視線を逸らして、うなじに手を置いた。
「まぁね…最近は結構Aさんと一緒に居たからさ…何となく気づいたっつーか……それがちょっと悔しくて、五条先生を煽っちゃった」
「あぁ、それで…」
あれ？ もしかして、悟さんも気づいてる…？
そういえば強引に振り切った後、追いかけてこなかった…
「五条先生も気づいてると思うよ。何も言わないけど」
「うっ…私、そんなに分かりやすい？」
どんなジャンルであれ、しっかり隠してたつもりなのにバレてたなんて恥ずかしすぎる。
上目で悠仁くんの様子を
「んや、惚れた弱味ってやつじゃね？」
ニヤリと意地悪な笑顔に変わった。
もう！ 年下のくせに生意気な…ッ
「それ、何か違う！」
「だね！」
あははっ！…と、悠仁くんは本当に楽しそうに破顔した。
最後、というのは少し語弊がある。
『最後かもしれない』がしっくりくるかな。
もしかしたら、もうここには戻って来られないかもしれないから…
例え今は悠仁くんの中で眠っていたとしても、近いうちに宿儺は必ず目覚める。
ううん、本当はもう目覚めていて、絶好の機会を見計らっているのかもしれない。
そうであるなら、あの生得領域で結んだ“縛り”が、再び私を彼の元へと導くはず。
宿儺の判断で一時的に現実世界に戻されたとしても、“縛り”とは、絶対に守らなければならない確固たる制約。
あれは精神の契約で、違えることは赦されない。
間違いなく宿儺は私を迎えに来る。
その時は何となく、もうすぐなんだ…って肌で感じていた。
だから、それまでの間に少しでも身の回りを整えておこうと思ったんだ。
悠仁くんとの約束もそのひとつ。
「ごめんね、悠仁くん。あなたの気持ちには応えられない。でも…約束は守りたかったから…」
「…うん…分かってる。ちゃんと覚悟してたから平気だよ、俺。…でも…」
指を絡めたまま握られた手を引かれ、
「１個だけ、お願い聞いてくれない？」
いたずらな笑顔を浮かべながら歩き出した悠仁くんを見上げ、YESの代わりに微笑みを返した。
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
