63 誘惑 ページ14
気を失ったまま宿儺の生得領域から出された５日後、奇跡的に無事目覚め、思いがけず悟さんと想いを伝え合った。
「Aさーん、ポトフ作ったよー」
「悠仁くん…ありがとう…」
未だに悟さんのベッドを占領している私の元に、悠仁くんが食事を持ってきてくれるようになって数日が経つ。
私が目を覚ました翌日、悟さんの領域展開を受けて同じように眠っていた悠仁くんが起きて早々、私の看病を買って出た。
「五条先生が居ない間は、俺がAさんを支えるから」
って突然、真面目な顔で大人びた事を言い出して、私の方がドギマギしてしまった。
『無量空処』の後遺症もなく、やたら元気な悠仁くんは…
「はい、あーん♪」
「悠仁くん。私もう自分で食べられるよ」
何だか以前より距離が近い。
歳が離れている分、余計に私を翻弄する。
「……。ふーん、そう？ そんなに快復したなら、食事の前にちょっと俺の相手してよ」
「え…っ！？」
一瞬無言になった悠仁くんはベッドの端に座った途端、力強い腕で私の腰を抱き寄せ、素早い動きで私の唇を拐った。
余韻を味わうようにゆっくり顔を離すと、驚いて放心している私の額に額を合わせ…
「ほんと、元気になって良かった…」
そう呟いて小さく息を吐いた。
「なに…なんでキス…？」
「俺さ、何もしないまま後悔だけするなんてもうゴメンだから、これからは遠慮しないって決めたんだ。だから、Aさんが好きだって全力で伝える。覚悟して」
「悠仁くん…」
つい、うっとりしてしまう不思議な雰囲気に巻き込んだ悠仁くんが、
「はい、そこまで〜」
「おわっ！」
唐突な声に悲鳴を上げ、後ろへのけ反った。
その先に視線を送ると…
「五条先生！？」
「悟さん…」
悠仁くんと同時に認識した人物。
不機嫌に唇を引き結んだ悟さんが、悠仁くんの制服のパーカーを掴んで引っ張り上げていた。
「悠仁。Aは僕の恋人なの。誘惑するの禁止」
「関係ねぇだろ。結婚してる訳じゃねぇし」
「ダメなものはダメ。ダメったらダメ〜」
「何っだよ！ 先生ばっかずりー！」
子供の喧嘩みたいに言い合いを繰り広げる二人に、自然と頬が緩んだ。
悠仁くんの誘惑には困るけれど、こういう日常の時間に幸せを感じる。
宿儺との関係に、まだ決着は付いていないのに…
「二人とも、喧嘩はダメだよ」
「「でもっ…！」」
「ふふ…仲良しだね♪」
二人同時に同じ言葉を発し、お互いを意識して同時に口をつぐむ。
兄弟喧嘩のように何故か息がピッタリの二人が可笑しくて、堪らず吹き出した。
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
