61 ワガママ ページ12
「おかえり、A」
「た…だいま…？」
泣きそうに微笑んだ五条先生が絞り出すようにそう言うから、条件反射でかすれた声の『ただいま』を返した。
切なく歪む五条先生の表情や様子から、もの凄く心配をかけたことが
私、どのくらい眠っていたのかな…？
宿儺はどうしたんだろう…？
どうして五条先生の部屋のベッドで目覚めたの…？
聞きたいことは沢山思い浮かぶのに、何もかも言葉にならない。
喉が渇いて張り付きそう…
「せんせー…お水…」
「あ、そうか。ごめん、今あげるよ」
はっと意識を戻した五条先生は、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出しコップに移し替えると、私を抱き起こして身体を支え、口元にコップを寄せた。
されるがまま身を委ね、少し傾けられたコップに口を付けて冷たい水を喉に流し込む。
干からびた体内が潤っていくのを感じた。
「ありがとう…ございます」
「A、ごめん。俺のワガママ黙ってきいて」
『俺』？
そんな風に言うの初めて聞いた。
いつも一人称は『僕』なのに。
断りを入れた直後、サイドテーブルにコップを置いた五条先生は、私の返事を待たずにそっと両腕で抱きしめてきた。
温かい…凄く安心する…
「先生…？」
「……。」
頬にかかるサラサラと流れる真っ白な髪。
心地良い体温。
もっと温もりを感じたくて、本物である事を確かめるように、私も五条先生の背中に両手を回した。
「A…それ、反則…」
「反則…？」
「そんな可愛いことされたら、止まれなくなるだろ…」
「…？…止まらなくていいですよ？」
私の言葉にピクリと肩が揺れ、どこか口調が崩れた五条先生の背中をポンポンとあやす。
これが五条先生の“素”なのかな…？
大人としても教師としても繕う余裕すら無いほど心労を与えてしまったなら、私は先生の全てを受け止めるし、何でもするつもり。
「じゃあ、受け止めて」
私の心を読んだ言葉と共に、強く押し付けられた柔らかな唇を受け止めた。
ゆったりと甘く啄まれ、舌先が唇の合間を辿る。
それが深く繋がりたい合図だともう知っているから、私はほんの少しだけ唇から力を抜いた。
「んっ…」
自然と漏れる喘ぎに、口づけの激しさが増していく。
息が苦しくなってきて、背中に回した両手を五条先生のシャツごと握りしめた。
それに気づいた五条先生は…
「…っごめん…またやり過ぎた…」
唇を離して嬉しそうに微笑んだ。
「言葉と表情が合ってませんよ？」
そう言って覗き込むと、五条先生は一瞬で赤くなって横を向いてしまった。
*
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うさぎのおもち(プロフ) - ゆずあさん» ゆずあさんコメントへのお返事ありがとうございます。本当に素晴らしかったです。同じ思いで嬉しいです笑千年の恋の方も読ませて頂いています！是非最後まで読ませていただきます！( ߹꒳߹ ) (11月28日 22時) (
レス) id: 2be3f74d8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - うさぎのおもちさん» 熱いコメント＆感動＆号泣！こちらこそありがとうございます！(*T▽T*) 実は私も陰ながら宿儺との未来を応援していました笑 なので宿儺との物語は『千年の恋』で、思いつくまま気が済むまで書こうと決めています。見届けていただけると嬉しいです(*>∀<*)♪ (11月27日 23時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
うさぎのおもち(プロフ) - 宿儺と主人公を応援してたのでめちゃくちゃ読んでてしんどかった(泣)めちゃくちゃ号泣して頭痛いです笑また宿儺と出会って結ばれて欲しいです泣ほんとに素晴らしいお話読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。本当にありがとうございます (11月27日 22時) (レス) @page49 id: 4b465d9ef7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» 早速のコメントありがとうございます！頭の中でごちゃごちゃしている物語を整理しながら、ご期待に沿えるよう焦らず更新していきます！♪(/ω＼*) (2021年12月17日 6時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！この先の展開がとても気になります！更新楽しみにしてますね♪(◍•ᴗ•◍) (2021年12月17日 2時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年12月16日 19時
