※ 46 千年の恋人�Α匳頻�side〉 ページ46
ある日の夕刻。
見上げた空が、異様な赤に染まっている。
おかしな胸騒ぎを抱えて門扉を潜り、屋敷内に足を踏み入れた。
屋敷内は静寂に包まれていて、人の気配が感じられない。
そして、Aの部屋へ近づくたびに濃くなる血の臭い。
まさか…そんなはず…
それだけはあってはならない…ッ！
重たく弾む心臓を片手で押さえ、
「A！」
勢い良く、閉ざされているAの部屋の戸を開け放った。
「宿儺…さま…」
戸を開けた先には、十数人の男女に取り囲まれているAが…
手足を縛られ、身体中を切り刻まれた血まみれの状態で部屋の中央に横たわっていた。
血溜まりは広がり続けている。
「…何故…こんな…」
「…来ては…なりません…」
ほとんど息のような声と、出会った頃と同じ虚ろな瞳。
子猫のように愛らしい声も、芍薬の花のように可憐な佇まいも、春風のように爽やかな空間も、全て失われていた。
「やはり手懐けられていたか」
「……。」
「Aを返せ」
「それは出来ない。この女は反逆者だ。ここで処刑する。まぁ既に虫の息だがな」
「何を…言っている…」
「この女は、お前を暗殺するために送り込んだ刺客。だがその命に叛いたのだ。生かしてはおけない」
「刺客…だと…？」
Aが、俺を殺す為に送り込まれた刺客…？
「残念だが、貴様の術式はここでは無力だ」
見渡せば、部屋の壁中に呪符が貼り付けられていた。
これでは術を放った途端、倍になって返ってくる。
どうやら必中の領域も展開しているらしい。
ここで通用するのは、この男が設定した“縛り”だけだ。
Aに気取られて空間の歪みに気がつかず、まんまと奴の領域に踏み込んでいた。
「…ｸｿｯ…」
身体が動かんっ！
どうすれば…ッ
「す…くな…さ…」
「A！ すぐに助ける！」
「いつか…咲き…こる…薔薇…見せ…ッ…や…そく…」
「やれ」
男の一言で一斉に振り上げられる刃、斧や鍬に鉈…
「や…めろ…」
「────…」
それら全てが、小さく呟き悲し気に微笑んだAの身体に沈み込んだ。
「やめろ…」
何度も、何度も…
血の雨が降り注ぐ。
「やめろおおぉぉ──っ！！」
…ふ…ざける…な…
ふざけるな…ふざけるな…
ふざけるなふざけるなふざけるな…
ふざけるなああぁぁ──っ！！
Aが何をした！？
俺への貢ぎ物として売られ、この屋敷の片隅で密やかに暮らしていただけだ。
日々の小さな幸せを享受して…
『宿儺さま』
俺を見て、ふわりと微笑み…
ただ、俺が愛して──…
*
※ 47 千年の恋人�А匳頻�side〉→←45 自責の念と制裁〈貴女&宿儺side〉
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ゆずあ(プロフ) - みぃさん» ご愛読ありがとうございます！続編を楽しみにしていただけて嬉しいです(’-’*)♪ 近いうちにUPしますので、また遊びに来てくださいね！ 完結までよろしくお願い致します！(^人^) (2021年12月13日 0時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» ご愛読ありがとうございます！ 楽しんでいただけて私も嬉しいです(*´∀`)♪ 漠然と想い描いている最後を何とか文章に乗せて完結まで頑張りますので、よろしくお願い致します！(*-ω人) (2021年12月13日 0時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます♪続編嬉しいです！楽しみにしてますね(人 •͈ᴗ•͈) (2021年12月12日 20時) (レス) @page50 id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 続編ありがとうございます!いつも楽しみながら読んでいます!続編がんばって描いてください!楽しみに待っています! (2021年12月12日 17時) (レス) @page50 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» 応援コメントありがとうございます！キュンキュンいただけて嬉しいです！宿儺&五条&虎杖との絡みとか書きたいことが沢山あって１話詰め詰め型ですが、完結まで頑張りますので、最後までお付き合いいただけると幸せです。(*^ω^)♪ (2021年11月28日 20時) (レス) @page33 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年11月6日 18時
