37 抗えない ページ37
再び気を失って横になっていたらしい。
目が覚めて周りを見回すと、枕元には薔薇の花が一輪置いてあった。
宿儺が置いてくれたのかな…変なの…
ゆっくりと身体を起こし、薔薇の花を手にした瞬間。
『A、頼む…ッ…応えてくれ…！』
薔薇の花から微かに五条先生の声が聴こえた。
「五条先生…？」
まさか、想いすぎて幻聴…？
でも…
『A、聴こえたら返事して』
音量は大きくないけれど、今度はちゃんとはっきり聴こえた。
間違いなく、五条先生の声だ。
「先生！？ どこから…」
『君の戻りたいって確固たる意志がないと、こっちには戻れないんだ』
時間が限られているのか、重要点だけを伝える言葉に固まった。
私の意志…戻りたいって強く思わないと、ここからは出られない…？
そのとき。
「何を…している」
「宿儺…」
突然、無遠慮に開け放たれた隣の部屋の襖の向こう側から、宿儺が入ってきた。
五条先生の声は聴こえなかったみたい。
誤魔化せる、かな…？
「何ってなんのこと…？」
「…この気配、呪力…あの男か…ッ」
あ、やっぱり無理だった。
気配と呪力で分かっちゃうんだ。
「え、ちょっと待っ──」
焦りと怒りに満ちた表情で大股で近づいた宿儺に、手首を掴まれて簡単に押し倒され、布団に縫い止められる。
そして、間髪入れずに無言で乱暴に唇を塞がれた。
「──んんっ…」
やだ…ッ…だめ…ッ
宿儺の口づけは、私の思考回路をどろどろに溶かしてしまう。
考えるという行為を強制的に剥奪される。
激しく貪られて正気を奪われているのに、それでも甘く掬われて…
抗えずに溺れていく。囚われる。
だって私は…
この口づけを、宿儺の唇から身体中に散らされる柔らかな愛撫を知っているんだもの。
心が、身体が、それを憶えてる。
宿儺の温もりを、直接肌で感じる体温を、求めてる。
ねぇ五条先生。
私どうしたら…
「他の男のことを考えるな。不愉快だ」
「そんな…考えてなんて…」
「いいや、お前は今確実に、あの術師のことを思い浮かべている」
「…ﾝや…ぁ…」
首筋に湿った刺激を与えられ、自然と漏れる甘えた声。
私の反応に宿儺の口元が弧を描いた。
「やはりお前は変わらんな。俺が教えた通りの反応だ」
『お前は俺のものだ』
口癖のように何度も刷り込まれる言葉。
まるで言霊。
これも一種の呪いだ。
人でありながら呪霊達の頂点に君臨する呪いの王、宿儺。
彼から放たれる言葉には全て魂が宿る。
どうしても抗えない。
それに私…
抗いたくない…って心のどこかで想ってる…
*
38 抱えた感情〈宿儺side〉→←36 唯一の繋がり〈五条side〉
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ゆずあ(プロフ) - みぃさん» ご愛読ありがとうございます！続編を楽しみにしていただけて嬉しいです(’-’*)♪ 近いうちにUPしますので、また遊びに来てくださいね！ 完結までよろしくお願い致します！(^人^) (2021年12月13日 0時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» ご愛読ありがとうございます！ 楽しんでいただけて私も嬉しいです(*´∀`)♪ 漠然と想い描いている最後を何とか文章に乗せて完結まで頑張りますので、よろしくお願い致します！(*-ω人) (2021年12月13日 0時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます♪続編嬉しいです！楽しみにしてますね(人 •͈ᴗ•͈) (2021年12月12日 20時) (レス) @page50 id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 続編ありがとうございます!いつも楽しみながら読んでいます!続編がんばって描いてください!楽しみに待っています! (2021年12月12日 17時) (レス) @page50 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» 応援コメントありがとうございます！キュンキュンいただけて嬉しいです！宿儺&五条&虎杖との絡みとか書きたいことが沢山あって１話詰め詰め型ですが、完結まで頑張りますので、最後までお付き合いいただけると幸せです。(*^ω^)♪ (2021年11月28日 20時) (レス) @page33 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年11月6日 18時
