36 唯一の繋がり〈五条side〉 ページ36
──ひらり…
悠仁を学生寮に送り、自分は高専の職員寮の自室に戻って、小皿に浸した水にAとの唯一の繋がりである薔薇の花びらを浮かべた。
これで少しは干からびるのを遅らせられる。
「…ｸｿｯ…」
ほんの僅か、間に合わなかった事が悔やまれ歯噛みした。
あと数秒、医務室に辿り着くのが早ければ…
Aの手を掴んで引き留められたはずだ。
けれど、緊急任務を放り出すことも、怪我をした術師を見捨てることも僕には出来なかった。
何を置いてもAを優先する…それが出来なかった。
そして、宿儺に奪われてやっと気がついた。
いや、明白になったと言った方がしっくりくるか…
僕は一人の女性としてAが好きだ。
もうはぐらかすことも難しい、純粋で確かな想い。
本当はとうの昔に自覚していた想い。
どうしてもっと早く、自分の気持ちを認めなかったのか…
家がどうとか、宗家の役目がどうとか、Aの居ない世界を生きることに比べれば、大した障害じゃない。
後悔の塊が胸の内を転がり、次第に大きくなっていく。
媒体である薔薇の花びらを指先でくるくると弄び、
「A…戻ってきてよ…」
ダメもとで語りかけてみた。
こうなった今、Aの意志が
Aがもし宿儺に心を奪われた場合、こちらの世界に戻って来られる可能性は…
宿儺の意思で戻してもらわない限りゼロだ。
今、宿儺の生得領域は閉じられているから、僕が集中して花びらから呪力を辿っても見つからない。
悠仁にはああ言ったけど、こちらから宿儺の生得領域を見つけ出して入り込むのは至難の技。
Aが学生の頃に囚われた時の、特級呪霊の生得領域とは訳が違う。
相手は呪いの王。
史上最強の呪詛師の受肉体。
特級呪霊の巧妙に隠された領域の結界だって、見つけ出すのに３日かかった。
だとしたら今回は…？
３日も経てば花びらは端からしおれて、宿儺の生得領域への道は完全に断たれる。
「A、頼む…ッ…応えてくれ…！」
指先から花びらに、呪力を流し込んで意識を集中させる。
これで一瞬でも繋がれたら…
「…──んせ？──…」
微かに聴こえたAの声。
繋がった！
彼女の近くに、薔薇の花があるんだろう。
「A、聴こえたら返事して」
「…せん…せ…──どこ…？」
Aの声は途切れ途切れだけど、僕の声はちゃんと届いているみたいだ。
ラッキーだね。
「君の戻りたいって確固たる意志がないと、こっちには戻れないんだ」
それに対して、Aからの返答はなかった。
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ゆずあ(プロフ) - みぃさん» ご愛読ありがとうございます！続編を楽しみにしていただけて嬉しいです(’-’*)♪ 近いうちにUPしますので、また遊びに来てくださいね！ 完結までよろしくお願い致します！(^人^) (2021年12月13日 0時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» ご愛読ありがとうございます！ 楽しんでいただけて私も嬉しいです(*´∀`)♪ 漠然と想い描いている最後を何とか文章に乗せて完結まで頑張りますので、よろしくお願い致します！(*-ω人) (2021年12月13日 0時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます♪続編嬉しいです！楽しみにしてますね(人 •͈ᴗ•͈) (2021年12月12日 20時) (レス) @page50 id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 続編ありがとうございます!いつも楽しみながら読んでいます!続編がんばって描いてください!楽しみに待っています! (2021年12月12日 17時) (レス) @page50 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» 応援コメントありがとうございます！キュンキュンいただけて嬉しいです！宿儺&五条&虎杖との絡みとか書きたいことが沢山あって１話詰め詰め型ですが、完結まで頑張りますので、最後までお付き合いいただけると幸せです。(*^ω^)♪ (2021年11月28日 20時) (レス) @page33 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年11月6日 18時
