× 渡辺翔太〔ちょっと弱くなった日〕 ページ10
貴方side
ぼーっと誰も見当たらない事務所のソファに座る。
ライブやらドラマ、雑誌の撮影が落ち着いて
明日はやっと久しぶりのオフ。
毎日台詞を覚えたり、立ち位置、流れの確認で
休む暇もなかった。
体が鉛のように重い。
あ…やばい。力抜けちゃった。
忙しい時期は気を張ってるけど、
区切りが着くとどっと疲れが来る。
スタッフさんには仕事に行くたびに「頑張って」
「ゆずちゃんならできる」なんて言われちゃって……。
スタッフさんは好意で言ってくれてるのに
私、もう頑張ってるんだけどな。なんて。
性格悪いなとそんな自分に落ち込む。
自然と視界が霞んで涙がでてきた。
あー…なんで泣いてるんだろ。
どうしよう。
でも1人だからいいや。
だって誰もいないもん。
なんて思ったら
1人ではなかった。
渡辺「え、A？」
貴「…ッ！？しょっぴー！？」
仕事終わりに事務所に寄ったらしい渡辺翔太が
驚いた顔をして私の前にいた。
あ、やばい。泣いてるのばれる。
と思った時にはすでに遅い。
渡辺「え！？なんで泣いてんの？なんかあった？」
貴「っ、いや、その…っ」
必死に言葉を探しても言葉が見つからなくて、
やっと口にでた言葉は
「わかんない」だった。
その後の言葉に詰まるとぎゅっと抱きしめられた。
優しくされるともっと泣いちゃうって…
今の私は弱くて本音がポロポロ出てきてしまう。
貴「…なんか、疲れた…みた、い」
渡辺「最近、ずっと休みなかったもんな」
貴「皆に頑張ってね、って言われるっ、」
渡辺「うん」
貴「私、これ以上……がんばれ、ない…よ」
渡辺「うん、Aはもう頑張った。１回休も」
貴「……っ、うん、」
渡辺「ここに俺しかいねぇから、今のうち泣いとけ」
貴「………やさし、すぎ」
渡辺「俺はいつも優しいんだよ笑」
いつも私のまわりには誰かがいてくれる。
しょっぴーも私が落ち着くまでずっと傍にいてくれた。
次の日も夜ご飯に連れていってくれた。
ちょっと弱くなった日だって、皆がいれば乗り越えられる。
また強い自分になれる。
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作者名：ミルキー
| 作成日時：2022年7月30日 13時
