だいじょばない (黄)* ページ11
淳太
雨強なってきたな。
室内にいても嫌というほど聞こえる雨の音 。
深夜に差し掛かる頃、その音は打ち付けるように増してきた。
「もう寝るか」
あしたも昼から仕事やから。
ベッドに入ろうとすると突然、インターホンが鳴り響く。
「 だれやねん、こんな遅くに…」
居留守使おうか思ったけど 、メンバーやないかって思う自分もおって。
モニターにうつった見慣れたシルエットに、
思わず呆れてため息をつく。
「もうっ、うるさいね…「じゅんた…っ !」
ドアを開けた瞬間、しげがおれの胸に飛び込んできた。
「おまっ、びしょびしょやんか、」
「…じゅんた 、 っ、じゅんた…っ、」
「うんうん、おれやで、どーしてん…」
全身びしょ濡れのしげは抱きついたまま、
なんどもおれの名前をよぶ 。
濡れた髪がおれのスウェットをどんどん濡らしていく 。
泣いてんのかと思ったけど 、涙はでてない。
いっそ泣いた方が楽やないかってくらい、切なくて痛々しい表情。
「 … っ、 うー… 」
「ちょっと中はいろな?寒いから。座るで?」
玄関先にふたりで倒れ込むようにズルズル座り込む。
「ちょっと待っとき?着替え持ってくる」
そう言って俺だけ立ち上がろうとすると、ものすごい力で制止される。
「いややっ、じゅんた …っ いかんといて …」
とうとう不安に満ちた目は真っ赤に染まって
あったかい涙がボロボロ零れだした。
「わかったわかった 、いかんから。落ち着くまでここおるから」
ぽんぽん、としげの背中をさする。
ほんま、どないしたんや。
こんなこと、デビューしてから、いやするまえから初めてや。
でもいま聞いたらあかん気がして、そばにおることしかできん。
いつもの毅然としたしげはどこへやら、
捨てられたあと雨に打たれた子犬みたいな 。
しばらくそのままでおったら、すぅ、と小さい寝息が聞こえてきた。
寝たんかとおもって表情をみると、
眠ってはいたけど疲れきった顔 。
まだ 不安げにまつ毛が動いていた 。
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作者名:こゆ | 作成日時:2018年3月20日 8時