深呼吸 ** ページ20
崇裕
濱田「しげ、鍵だけ開けてくれへん？ごめんな 、」
ゆっくり鍵が開いて、あわてて開けると
蓋閉めた便器に頭をふせて 、ハァハァと普通じゃない呼吸 。
濱田「しげ、こっちおいで 」
力の入らない身体を無理やりこっちに向かせて 、抱いてやる。
重岡「 っ 、ハァハァっ ハァハァ ひゅ 、 くるしっ 」
濱田「 うん、苦しいなぁ 」
過呼吸やったんか 。
身体も冷えてまってるし 、中々楽屋戻れなかったとこを見ると
結構酷いんかな 。
濱田「しげ、はまちゃんと一緒に息しよ わかる？」
重岡「 … っ ハァハァ ハァハァ っ 」
しげの手を俺の胸にあてて、
わざと大きく ふー はー ってやってみせて 。
濱田「 そうそう、上手やで 」
重岡「 はぁっ … はぁ ふぅ 」
最初はぜんぜん合わせられんかったけど、
出来てるって 励ましてたら だんだん合ってきた 。
重岡「 はー … はー… ゴホッ はぁ…」
濱田「うん、落ち着いてきたな 、すごいやん 」
褒めてやると なんとも言えない表情で顔歪ませたと思ったら 飛びついてきて 。
重岡「 … っ」
じんわり胸の位置が温かくなる 。
泣いてるんか 。
重岡「 はぁ っ、 んっ、 ひゅ ハァハァ 」
濱田「ちょ、ちょ、アホ！また苦しくなってどーするん」
泣いたせいでまた呼吸が乱れてきたと思ったら過呼吸ぎみで 。
思わずアホ！って言ってしまった笑
しばらく何も言わんで とんとんと背中をさするようにしてたら、
やっとマシになってきた。
濱田「 なんか あった？」
重岡「 ……」
濱田「うん、言わんでもええねん でもさ、
しげのことやって 、一緒に考えたいんよ」
重岡「 … みんなのこと 見えへん」
濱田「 え？」
重岡「おれのとこから っ、 みんなのこと見えへん …っ」
重岡「いつもは 見えなくてもわかんねん 、
気配とか呼吸とかで みんなおんなって 。
でも今日は みんなどこおるかわかんなくて 、
もしかしたら１人なんちゃうかって」
たしかに、いつもしげがいるセンターの位置からは 俺らのこと見えないと思う 。
やって俺らがしげの背中見てんねんもん。
けど センターに対して そんな気に病むタイプやなかったはず
ぽつぽつ、でも訴えるように話して、
また大きく背中が上下してきてしまうから 、
一生懸命 ゆっくりさする。
濱田「 誰かになんか 言われた？」
重岡「ドラマの 、スタッフさんにっ …」
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作者名：こゆ | 作成日時：2016年3月25日 1時
