Shall we dance? ページ1
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俺の教室の扉が開いた。
特段気にする事でもないそれは、想定外に俺の運命を変えた。
目の前を歩く同級生。
あーあ。また告白かよ。普通なら告白だと気付いたらここで着いて行かないようにしている。…が、この同級生からの呼び出しとなったら別だ。面白そうな予感をヒシヒシと感じ着いて行く。
──ガチャ。
「屋上開くんだな」
「んー。まぁ、ね」
「ふは、訳ありかよ」
どうやら普段施錠されている屋上への扉は、コイツの何らかの悪巧みによって簡単に出入り出来るらしい。
屋上へ初めて足を踏み入れた。高校の時はしょっちゅうサボっていたが、大学に入ってからは屋上へ行く機会も減っていた。
雲が浮かぶ青空。少し眩しいが、そよ風が丁度いい感じで気温を調整している。
長い髪の毛を揺らし、同級生は振り返った。
「私と恋人?になってください!」
「無理。てか、どうして俺?」
「無理かー。んー、摂津くん劇団入ってるでしょ?それにネットで活動してるし、適任摂津くんぐらいしか居ないんだよね」
そう。この目の前にいる城崎Aはネットで活動している踊り手だ。俺や至さんみたいに顔を隠してる訳じゃないから、大学では結構有名だ。ルックスも悪くない。ただ、動画と違って化粧が薄いから鈍感な人には気付かれにくい。
俺がNEOになる為の変装も分かる人からすれば俺だって分かるだろう。そんな感じでコイツも俺が有名実況者コンビの片割れだって分かってるって訳だ。
だからこそ、この城崎の誘いを断らなかった。理由は単純。面白そうだったから。そうじゃなければこんな所にいない。
「てか、疑問形で言われてもな」
「いや、だってあれはなんて言えばいいんでしょう?帽子屋?いや、ハートのナイトか」
「ちょっと待て。話が見えない」
城崎は漸く噛み合わないこの会話の謎を理解したようだ。顔にそう書いてある。
「えと、Queen of Heart踊りたいから、ハートのナイト役やってくれないかな?」
「はぁ。一番重要な部分抜けてんぞ。そもそもその曲聴いたことねぇし。いつ何処で撮影すんの?」
「えーと、あの、摂津くんの劇団の劇場で、そのー、1ヶ月後くらいで…」
場所も含めて俺に声掛けたって事か。
…でも、それなら俺にそれ相応のメリットがなきゃ面白味に欠ける。
「…俺にメリットは?」
「メリット?えっと、んーと、ダンス楽しいよ」
「…………それから?」
「えっと、あ!演技力も上がるし、客観的に自分の動きを見れるっていうのは…?」
──
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作者名:胡椒 | 作成日時:2018年11月1日 21時