25*中間淳太 ページ26
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「―――そっか、なら起きたらでえっか」
袋を小さく丸めて、専用のかごに入れた。
時刻はもう7時近い。
明日は朝イチの新幹線で名古屋へ行き、夜は名古屋公演だ。
早めに寝るためにも、もうご飯作り始めるか。
「あのさ、淳太くん」
あ、こいつ。
しげが俺の事を淳太「くん」って呼ぶんは、相当悩んでるときに限る。
俺はそう悟ったけど、なんとなく、そ知らぬ顔をして人参を切り始めた。
「なに?」
とんとんとん、と小刻みに心地良いリズム。
この数ヶ月で、俺たちの自炊レベルは上がっている。
「なんなん、はよ言ってみ?なに?」
しげの顔を見なくても、しげがどんな表情で立っているかわかった。
「―――俺、コーヒー飲みたいし淹れてっ」
「はぁ?!」
見上げると、いつものいたずら顔。右上のえくぼが深くつくられていた。
「見たらわかるやろ、俺夕飯の支度してんねんけど」
「ええやん、ちょっと休みぃや」
「はぁ〜〜〜?!ほんならお前が淹れてくれればいいやんけ」
「俺は淳太のおいちいコーヒーちゃんが飲みたいんでちゅよ〜」
くそ、こいつは。
何かと思えばまたうざ絡みやん。ほんまに懲りへんやつ。
…って言って、淹れてやろうとしてる俺も俺やな。
気付かんふりする俺も、俺やな。
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りこりこ(プロフ) - この作品大好きです!!更新してくれてありがとうございます!! (2016年5月22日 18時) (レス) id: 81e436b221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - この話が好きすぎて何度も読み返しています笑 更新待ってます! (2016年3月19日 1時) (レス) id: a2dd3e89c0 (このIDを非表示/違反報告)
虹 - このお話大好きです! これからも頑張ってください。神ちゃん最高です(´▽`)ノ (2016年1月9日 20時) (レス) id: 2efc0523be (このIDを非表示/違反報告)
柚稀(プロフ) - なるみさん、ななさん、ゆーみんさん、花恋さん、Daiaさん、りいさん、スズリンさん、心温まるコメントありがとうございます!長らくお待たせいたしましたが続編のご用意ができました。どうぞお楽しみください! (2016年1月6日 11時) (レス) id: fef2791d76 (このIDを非表示/違反報告)
スズリン - マジで面白いんで更新お願いします!!!!!!! (2016年1月3日 16時) (レス) id: 5015aa9484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚稀 | 作成日時:2015年5月10日 13時