【5】 グループ内、恋愛禁止。

12*あなた ページ13

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洗濯を終わらせ、レッスン着に着替えて武道場に入った。
皐月さんに頼んで改造した武道場は、フローリングがゼリーの表面の様につるつるひかる。

入念にストレッチをして、手始めに「ＰＡＲＴＹ ＭＡＮＩＡＣＳ」を通そうっと。
振り入れもめちゃくちゃ難しくて、ごりごりなダンスナンバーやからこそ完璧に踊り切りたい。




こんこん、と、誰かが窓ガラスを叩いた。
宅急便？曇りガラスやからよう分からん。

武道場の引き戸をがらがら開けると、そこには細身の男の人。
軽装で、カメラを首からぶら下げていた。

「夏川社のEighteenです。取材に伺いました」

にこっと笑うと、目じりにしわが寄った。
名刺を手渡される。そこにはしっかりと、「夏川社 Eighteen カメラマン 枡岡」と印字してあった。




「今日ですか？今日は私たち、みんなオフやって聞いてるんですけど」

すると枡岡さんは、あっと分かりやすい表情をして、眉毛を下げた。

「それが、昨日の夜に変更になったんです。マネージャーさんからお伝えされてないですかね」
「いや、たぶん、無い、ですかね」

だって皐月さんやったらきっちり伝えるはずやし。

「今、ご都合悪いですか？メイクとか特別な装飾はいらないんですけど」
もしアレだったら、日を改めます、と付け加えられる。

絶対怪しい。けど、カメラもめっちゃしっかりしてるし、礼儀正しいし、名刺も同じ人やしなあ。
名刺の右端には、「東京都千代田区」と書かれている。

「東京から来はったんですか？」
「はい、新幹線で」
「今、他のメンバーはいないんですけど、練習風景なら…」

ここではじき返すのも失礼やな、と思ったから。

「本当ですか？！助かります、ありがとうございますっ」



取材の人が居てるからって気ぃ抜いてたらあかんな。
もう一度ストレッチをすると、ぱしゃぱしゃとシャッター音がなる中で踊り始めた。

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