第2話 ページ4
久しぶりに一家団欒の時を過ごす為、A達家族はサザナミタウンへ泊まりに訪れた。避暑地として非常に人気な為、他にも多くの家族連れやカップルで訪れる客等でこの時期は賑わっている。
海に来たということは即ち海水浴。
ノボリ、クダリ、Aは浮き足立って早く海に入りたいと、日焼け止めを塗っている両親を急かす。
浅瀬から出ないようにと注意する父親に返事をしつつ、双子は浮き輪を持ったAの手を引きザブザブと海へと足を進める。
暑い日差しを受け火照った体に冷たい海水がとても気持ちいい。
しばらく3人は水のかけあいっこや、誰が1番息を長く止めていられるか競う等して遊んでいた。
ふとクダリが海のポケモンを見てみたいと言い出す。
流石にこんな浅瀬にはいないから、もう少し深いところに行けば見られるんじゃないかと誘った。ノボリは浅瀬から出てはいけないと両親に言われていたので初めはやめようと話したが、ギリギリ出ないとこまでだからと粘るクダリ。海に暮らすポケモンなど滅多に見る機会は無いのと、まだ子供だった為、結果3人は揃って浅瀬ギリギリまで泳いだ。
人が多く海に訪れる影響で隠れているのかポケモンの姿は見えない。中々いないなとノボリとクダリは度々潜ってはキョロキョロと辺りを見回した。
勿論Aも兄に倣って顔を浸けて目を凝らしてを繰り返している。
しかしふと隣を見たら兄では無い生き物がそこにいた。
びっくりして逆隣を見るとそこにも同じ生き物の姿が。
その生き物の姿は全身がピンクのモノと水色のモノで、丸っこい頭にヒラヒラとベールの様な身体をして赤い目でこちらを見ていた。
何の気配もなく突然現れたソレにAは怖くなり咄嗟に兄の方へ声を掛けようとしたが、突然足に痺れが走る。見ればその生き物達がベールのような触手でAの足を掴んでいた。その生き物はスっと足を引っ張り忽ちAの身体は浮き輪から抜けてしまう。
驚いた拍子に海水が喉に入り噎せる。
それを皮切りに2体の生き物はどんどん自分を掴んで浅瀬から離れていく。
本能的にこれはマズイと暴れようとするも身体に力が入らない。声を上げようにも海水が邪魔だ。
そんなAを他所に尚も深い方へと進んでいく生き物達。
死への恐怖か、それともこの生き物の持つ毒か何かのせいか、Aの意識はぷっつりと切れた。
─────
A…
大ピンチ
双子…
まだまだ子供だから好奇心には負けちゃうよね
生き物達…
No.0592
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作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時