命短シ、羽バタケ乙女 (ページ28)

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第26話ページ28

ネズ｢なんでアンタがここにいるんです！？！？｣

『あ、ははは……(汗』

飛行レース当日、年に数回しか行われない一大イベントがエンジンシティで行われるため、街には沢山の観客で賑わっていた。
そして選手の控えには、それぞれの親族や友人などが複数人入る事が許可された為こちらも緊張感はあれど賑やかだった。

そんな中、Aに思わぬ客人が訪れていた。

ネズ｢そろそろ旅に出るとは聞きましたけど、ガラルにくるとは……しかもレースに出るなんて聞いてねぇよ！電話のひとつくらいくれてもいいでしょうが！｣

『いやほんとそれはゴメン。色々あってさ、連絡する余裕なくて……』

ネズ｢？何があったんです｣

かくかくしかじか

ネズ｢……それはまぁ、たいへんでしたね｣

『うん、自分でもやらかしちゃったなとは思う』

ネズ｢オレはべつにいいと思うけどね。かほごすぎるのも考えもんですから(後に盛大なブーメランとなる事を知らない｣

『……うん。ま、そんな訳でさ。今お金ないからこれに出ようってなったの』

ネズ｢どうきがふじゅんですけど｣

『そう言わないで。お金目当てだけどさ、ちょっと楽しそうだなとも思ったんだよ？』

ネズ｢ノリがかるいですね。どんだけ自信ありやがるんだか｣

『ふふ、私のアーマーガアははやいし強いからね』

傲慢ともとれるその言葉。しかし実際に彼女達は予選を1位で通過していた。前回大会優勝した選手を抜いて。
Aとあのアーマーガアならきっと優勝も夢ではないだろうなと、ネズは目の前で無邪気に笑っている年上の友人を見て末恐ろしい奴だと思った。

─────

スタッフから収集がかかる。
いよいよスタートラインに立つのだ。

ネズ｢せいぜいふり落とされないよう気をつけることですね｣

『へへ、勿論！健闘を祈っててよ！』

ネズ｢ハッ、言われなくとも｣

スタートラインはワイルドエリアからエンジンシティへ繋がる門。
予選を勝ち抜いた10人と、その相棒であるポケモン達が1列に並ぶ。

｢選手の皆さん、スタート準備をお願いします！｣

それぞれポケモンに跨る者や、中にはハンググライダーの様にポケモンにワイヤーを繋ぎ、ペースバーを装備するトレーナーもいた。

当然Aは鞍無しでアーマーガアに乗り、安物のフライトゴーグルを装着する。

旗係がゆっくりとスタート合図のフラッグを上げる。

『アーマーガア』

｢……｣

『キミの速さ、皆に魅せてやろう』

フラッグが空を切った。