甘いフレグランス 3 ページ4
「かくれんぼ、ねェ。お前もガキなもんだな。」
何も言わず、ほっぺをふくらますしかできない私。 そんな私を見て、ゾロは笑った。
「ははっ、面白ェ」
「…!!もう、ガキで結構ですよ〜だ！」
「やっぱガキだ」
「と、トレーニングの途中でしょ？早く続きしなさい！」
こんなやり取りしかできない自分が恥ずかしくて、いい放った。
「いつか絶対、ナミやロビンみたいに大人っぽくなってやる！」
するとゾロは言った。
「別にあいつらみてェになる必要はねェだろ。」
「ガキってゆったの誰よ〜」
そしたら彼は､いつもの無愛想からは考えられない無邪気な笑顔で､ニカッと笑った。
「俺は、いつものバカなお前の方がいい。」
「なっ・・・！！！」
ゾロはずるい。いつも意地悪なくせに、たまに向けてくる笑顔にはつい、格好いいと思ってしまう。
「A。」
どきっ。
彼に名前を呼ばれると、いつも胸がどきどきする。ほとんどがお前って呼ばれる分、嬉しくなったりもする。
「A。」
もう一度名前を呼ばれ、私はゆっくりと顔を上げた。
「・・・なに？」
「お前はお前､だろ。」
彼は、無邪気な笑顔のままそう言った。
トクン、 トクン。
そんなこと言われたら、好きって錯覚しちゃうじゃん。
「…?なんか、甘ェ匂いしねェか?」
そういわれて気づいた。私は、周りの空気を無臭にするのを忘れていた。
「な、何の匂いもしないよ…！」
あわてて誤魔化したけど。
私がちょっとでもドキドキしてたってこと、バレてませんように。
「…そうか、俺の勘違いか。じゃあな、トレーニングに戻る。」
「あ、うんっ！」
私は笑った。
そういって、去っていく彼の背中に目を向ける。
「もう惑わされないんだから、ば〜か」
その後､私はかくれんぼのことをすっかり忘れて、ルフィ達3人が見つかることはありませんでした。
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作者名：桃瀬わるつ | 作成日時：2017年2月9日 1時
