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☆★☆★ ページ20

リンクに着くと、もう何人かがウオーミングアップを始めていた。

「スケートリンクって初めて来た。」という彼女は、外から入ったとたん「うわ、空気が冷たい。」と言いながら、周りをきょろきょろ見ていた。


毎日来てる俺には何も珍しいものは無いけれど、どうやら目に入るもの一つ一つが面白いようで、俺が着替えを済ませてリンクサイドに戻ってきても、あちらこちらに目をやっている。


「そんなに面白い?」

「面白い、というか、初めてのものばかりで。へぇ、こんなところなんだ、って感じかな?」

「半袖だと寒いでしょ。これでよかったら着てくれればいいよ。」

と、俺が着るつもりで持ってきたジャージを渡す。

「え?だって羽生君が着るんでしょ?」

「だって、俺、今から体動かすからとりあえず要らないし。」

「でも・・・」

「制服半袖になっちゃったから寒いよ。遠慮しないで。」

「ありがとう。」



そういいながら、軽く手をすり合わせる彼女。
あ、そっか。

「これでよかったらしてて。さっきおろしたばかりの新品だから。」

と、さっき袋から出してはめたばかりの手袋を渡す。

「え、そんな。いいよ。」

「でも、大事な手でしょ?はい。」

「羽生君はどうするの?」

「俺はこないだまで使ってたこっちの古いやつあるから。だから、それ、あげる。」

「でも、私は滑るわけじゃないし・・・」

彼女がそういったとき、リンクから

「ゆづー、早く来なさい!」

と奈々美先生の声がした。


「あ、じゃ、行ってくるわ。一時間くらいで一旦休憩するのに上がってくるけど、もしそんなに長くいられないなら、適当に帰ってくれていいから。」

「あ、ありがとう。頑張ってね。」

「ん!見ててね!!!」

そういい残して、俺はリンクに向かっていった。




その後、彼女がどんな顔をして俺の練習を見てたのかはわからない。
だけど、休憩しようとリンクからあがってくると彼女の姿はなく、きちんとたたまれた黒のジャージに小さなメモが挟まっていた。



 〜 すごいスピードでびっくりしました。素敵なものを見せてもらってありがとう。
  手袋は、私がはめてしまったので、お言葉に甘えていただきますね。
  羽生君、とてもかっこよかったです。私も頑張らなきゃ。 A

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設定タグ:羽生結弦 , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
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ゆー - いろいろな曲を知れると思うとワクワクしますヾ(o´∀`o)ノ (2015年5月24日 0時) (レス) id: e6615b165f (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - ゆーさん» ゆーさん。エオリアンハープ。あの透明感が私は大好きです。夢主にはあと数曲弾いていただく予定です♪ (2015年5月23日 0時) (レス) id: b5b2743f5c (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - 「さゆ」って友達のニックネームと一緒だ~なんて興味本位で読み始めたのに今はクラッシックに興味があります(笑)まさに運命!?なんて思ってます(〃ω〃) (2015年5月22日 23時) (レス) id: e6615b165f (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - りまさん» りません。はじめまして!私、りまさんの作品が大好きで、いつも読ませていただいてます。すごく丁寧に書かれていていいな〜、って。私もがんばりますね♪ (2015年5月21日 22時) (レス) id: b5b2743f5c (このIDを非表示/違反報告)
りま(プロフ) - はじめまして!りまと申します。わたしもショパン大好きです♪続きを楽しみにしています。更新がんばってください! (2015年5月21日 6時) (レス) id: e12e9a56b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さゆ | 作成日時:2015年5月18日 23時

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