【好きな人がいること】海に揺られる恋心 part３

おかえりの一言で ページ2

階段を上りきり、再び大きく深呼吸をする。


カランカラン


扉を開けると一斉にこちらを向くみんな。


懐かしい…


すると…


美咲「すいません、まだオープン前なんですけど…」


やっぱりわかんないか…笑


『《わからない？》』


私はそう言ってクスリと笑う。


千秋「えっと…」


みんな不思議そうな顔をしている。


私は下を向きサングラスと帽子をとり、ポニーテールにする。


そしてみんなの方を向く。


『ただいま…みんな』


美咲「A…A！おかえり！」


駆け寄ってきてくれる相変わらずお団子頭の美咲。


冬真「A！おかえり！」


相変わらず抱きついてくる冬真。


千秋「A…おかえり」


相変わらずの優しい笑顔の千秋。


そして…


『夏向…』


夏向「…遅かったな。」


相変わらずそっけない夏向…と思ったけど。


夏向が厨房から出てきて私の前にきて。


“おかえり…A”


って珍しく微笑んで言ってくれて。


その時私は涙を堪えながら言った。


“ただいま…夏向”


って。


“おかえり”


その一言だけでこんなに幸せな気持ちになれるんだって。


心があたたかくなるんだって。


みんながいま、教えてくれた。

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