【Bitter chocolate ZM】 *1 ページ28
「チョウミにソロ活動をやってもらおうと思う…」
そう会社の偉い人に突然言われた時…
嬉しい気持ち半分不安な気持ち半分…
ヘンリーだってソロで活動したし…いつかは僕も…
そう思わなかった訳じゃない…
でも、まだまだ歓迎されてるとは言いにくい…言葉も完全に理解のできない第二の故郷でのソロ活動…
僕に出来るのだろうか??…
CDを出すだけでは無く…音楽番組のMCという大役も一緒にまわってきた事が僕にとっては正直プレッシャーだった…
ただ、頭で考えるより先にやります!!そう言っていた僕はきっと心の奥底ではソロ活動を渇望していたんだろう…
韓国語のサポートとソロのサポートマネージャーにと言ってやって来たのは
僕とあまり歳の変わらなさそうなその人で…
とても凛とした…言い方を変えれば冷たそうなその人だった…
歌の収録に始まり、番組の打ち合わせ…その人は僕に容赦無くダメ出しをする…
そう淡々と… 感情の無いロボットみたいなその人に僕は苦手意識しかなかった…
何とかCDも準備でき、少しMCにも慣れてきたけど… 僕とその人の距離は相変わらず…
カムバック初のステージ…
沢山兄さん達が応援に来てくれる…
大丈夫…大丈夫…
そう何度も呟いても…握りしめた手は汗びっしょりだ…
「これ…」
そうその人から差し出されたのはビターチョコレート…
「糖分はリラックス作用があるから…それと…チョウミ…貴方は誰より努力したんだから…なにも心配いらないわ…」
そうニコリともしないで僕にチョコレートを渡すその人を僕は呆気にとられて眺めていた…
思わず口に放り込んだチョコレートはカカオ分が高いのか全く甘くは無くて…
でも少し…その人が初めてくれた僕への目に見える形の優しさと一緒にリラックスを運んでくれた…
何とか上手くこなせたカムバック…
寝る暇がないほど秒刻みで進むスケジュール…
改めて兄さん達の凄さを思い知ると共に…僕と同じように不眠不休のスタッフさんの有難味を痛感する…
移動中の車内で少しの仮眠…大きな揺れでふと目を覚ますと珍しく眠ってしまっているその人の膝から真っ赤な手帳が滑り落ちた…
拾って返そうとした僕の目に飛び込んで来たのはびっしりと書かれた僕の事…
体調面や上手く出来たこと、出来なかったこと…僕が苦手な発音から、食事内容まで…
そして毎回最後に“ファイティン!!”“あなたならできる!!”って言葉…
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saku(プロフ) - 西洋骨董洋菓子店って、よしながふみさんの漫画から来てるんですか? (2019年1月31日 23時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:choco | 作成日時:2014年10月22日 14時