どなたですか？ (ページ5)

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電話番号が分からないなんてそんなことないはずだ
最近の子は良くスマホを持ち歩いてるのを見かけるし
小さい子供でも【電話番号】という単語自体は知っているだろう
でも目の前の少年はその単語を初めて聞いたような表情
これは本当に初めて聞いたんだろうな、そう確信した

『その、本当に電話番号って知らない？』
念のため確認する

「すみません、分からないです」
分からないことがダメだと感じてしまったのか少年は顔を伏せてしまった

さっきこの家に驚いていた
少年の服装もパジャマとかの寝間着ではなく浴衣のような薄緑の【寝巻】
今じゃあまり見ない男の子の長髪
電話番号という単語を知らない
もしかすると、もしかするとだ
どこかの映画のように昔の人がこちらの世界に来てしまった、なんてことだったりするのだろうか
科学的にそんなことありえない、が
呪霊という非科学を相手にしているため、完全に否定はできない

『大丈夫だから、顔を上げて』
そう言い顔を上げてもらう

『ごめんね、聞きたいことがあるんだけどいいかな』
申し訳ないけど異常事態、尋ねはするけど拒否権はない
少年もそれが分かったのか顔を少し強張らせながら頷く
それを見て私はヘラっと笑う
あまりギスギスしててもお互い良くない

『まぁ、まず自己紹介から。君もずっと知らない人といるのも嫌だろうしね
私は南雲カナメです。できればカナメで呼んでくれると嬉しい
よろしくね』
そういって右手を少年の前に出す
少年は少しためらった後ゆっくりと自分の右手を出し私の手を握る

「僕は三反田数馬です。えっと、よろしくお願いします？」
少年の名前は三反田数馬くん

これが私と忍たまの出会い