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『おはよう』
隣の彦四郎君に挨拶する
彦四郎】「おはよ、ございます…」
彼はまだ眠たいのか目をこすり欠伸をしている
ベットから降りようとした彼の足が透けている
順調にお別れの日が近づいているようだ
『そういえば彦四郎君、此処に来る前に手裏剣の授業をしてたって言ってたよね?』
朝の支度を終え、朝食を食べた後何気なく思ったことを聞いてみる
彦四郎】「?はい」
『手裏剣って今持ってたりするの?』
着替えの際は別々の部屋で着替えるため、彼の所持品は分からない
ただ、私が貸している服から器用に【忍たまの友】を取り出していたから
まだ何か持っているんじゃないかと気になったのだ
彦四郎】「はい、一つ持ってますよ」
そう言ってあの時と同じように懐から手裏剣を取り出した
本当に持ってた、忍者は懐に忍ばせるのが器用らしい
『ねぇ、投げてみない?』
そう聞くと当たり前だが驚かれた
彦四郎】「投げるって…家の中でですか?」
危険です、と腕をクロスし×マークを作る彦四郎君、年下に注意された
いや分かっているけどね
『まっすぐに投げればいいだけだよ』
そう言って玄関に続くリビングの扉を全開にする
玄関からリビングの端まで良いくらいの距離がとれるだろう
玄関の扉に傷がつかないよう空き箱とかをいろいろ重ねて、円を描いてっと…
準備する私に「本当にやるんですか?」と彼は不安げな表情をする
『うん、やろう?
大丈夫、もし外して家の中が傷ついても怒ったりしないから
此処に来る前、授業で失敗したって言ってたでしょ?
もしかしら教えれるかもしれないなと思って
それに腕が鈍っちゃダメだから練習しておこう?』
玄関が見える位置に立ち、おいでと渋る彦四郎君を手招きする
トボトボと手裏剣を片手にこちらにやってくる彼の目線に合わせてしゃがむ
『帰ったら上達したところを見せて友達を驚かせちゃお』
彦四郎】「もう、分かりましたよ
失敗しても本当に怒らないで下さいね?」
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作者名:楓の姉 | 作成日時:2024年2月19日 14時