どなたですか？ (ページ37)

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彦四郎】「カナメさんはこの後もうご予定はないんですか？」
あれからもう一つドーナツをたいらげた彦四郎君が聞いてくる

『ちょっと書類仕事がある程度かな
どうして？』
気になることがあるので上にあげる資料を作成しようと思っていた
ちゃんと見てもらえるか分からないけど

彦四郎】「えっと、もっとカナメさんのこと教えてほしいなぁなんて」
えへへと頬をかく彼、なにそれすごく可愛い

『全然いいよ、どうぞ？』

彦四郎】「ありがとうございます！」
それからは好きな食べ物は？とか、何か得意なことはありますか？なんて
あれこれ質問されてなんだか面接みたいだった、楽しかったけどね
知りたいことを知れたのか満足げな表情の彦四郎君
もう聞きたいことはないかと聞くと元気よく「大丈夫です！」と返ってきた

パソコンをカタカタとたたきながら書類を作成していく
あの後彦四郎君は勉強に戻っていった
誰かさんに爪の垢を煎じて飲ませてあげたい
たまに彼の様子を伺いながらも文字を記入していく
うん、何とか完成しそう

数分後、完成した書類を保存して体をほぐす
また明日からは今日と同じように家を空けるだろうから再度彦四郎君にも伝える

『帰りが遅くなる日もあるから、その時は気を遣わず寝てていいからね』

彦四郎】「分かりました」
勉強を中断し返事をする彼の手がまた透けている
彼も一瞬驚いたようだったが、不安がる様子はなく手を閉じたり開いたりしている
数馬君の時はお別れを言えなかったから今度はちゃんと言いたいな

『そろそろ晩御飯にしよっか』
昼間にドーナツを食べたため少し遅めの晩御飯
準備に取り掛かる私を見ながらいそいそと勉強道具を片づける彼にテーブルを拭いてもらう
数分後に出来上がった料理を並べいただきます、と食べ始める
あと数日のこの光景を目に焼き付けておこうと思った

お風呂も済ませ、就寝するため2人で寝室へ行く
おやすみと言おうとして彼を見ると少しもじもじしている

彦四郎】「あの、カナメさんが嫌でなければもう一度一緒に寝てもいいですか？」
少し恥ずかしそうに頬を染めながら聞いてくる彦四郎君を
どうぞ、と自分のベットへ招き入れる
人肌恋しいというやつかな
お互いにおやすみと言い、電気を消す
狭くなった温かいベットが少し懐かしく思えた