どなたですか？ (ページ21)

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「あの南雲さ、えと、カナメさんでしたよね？」

『うん、合ってるよ』

「確かに、忍術学園に三反田数馬という名の先輩はいます
此処に来ていたかは分からないですけど
それを見る限りそうなんだと思います
そしてあなたの話は事実、なんだと思います」
一生懸命自分の考えを話そうとしてくれている

「未来に来たとか現実的にありえないと思いたいけど
この状況から考えて本当、なんですよね？」

『うん、君が戦国時代の子なら本当だよ』
そうですか、と顔を伏せる彼

「…あなたは僕に危害を加えますか？」
その言葉に驚く
そんな風に思っていたのかと少し落ち込む
もちろん危害を加えるつもりは毛頭ないので首を振り否定する

「…僕、ちゃんと忍術学園に帰れますか？」
不安そうにこちらを伺う少年
私は安心してもらえるよう微笑む

『数馬君がそっちに帰れたのなら君もきっと帰れるよ』
大丈夫、そう言うと少年は困った顔をした、あれ？

「すみません、三反田先輩が今いるかはちょっと分からないです…
でも僕はあなたの話、信じてみます

僕は一年い組の今福彦四郎といいます
あの…め、迷惑でなければ学園に帰る間、僕もここにいてもいいでしょうか？」
答えはもちろん決まっている、が
数馬君、帰れてるよね？少し不安になってしまった

『もちろん居ていいよ
これから数日の間かもしれないけれどよろしくね、彦四郎君』
そう言って少年・彦四郎君に右手を差し出す
彼も自分の右手を差し出して「よろしくお願いします」と握ってくれた
と同時に彼のお腹がグゥーと鳴る

『…ご飯、食べる？』
彦四郎君は顔を赤くして頷いた
前にも似たようなことがあった気がする

リビングに案内し、椅子に座って待っててもらう
食パンを焼いてバターと苺ジャムとナイフを用意する、飲み物は冷たい緑茶
あいにく白米は炊かなければないため食パンを出した
ジュースもあまり飲まないため無い、組み合わせが微妙だが許してほしい

『これを好みでつけて食べてね』
そう言って彼の前に置く
見慣れない食べ物だからか、ジャムを塗ったパンを恐る恐る口へ運ぶ姿が可愛らしいかった
美味しかったのか苺ジャムを付けモクモク食べ進めている
バターよりジャム派か、なんて思いながら私は残っていた珈琲を飲む