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『じゃあちょっとだけ質問いいかな
頷いたり首を振るだけでいいから答えてほしい』
言葉を区切り、少年の様子を伺う
彼の頬に涙が伝う、布団にシミを作っていく、怖がらせてしまっているな
こちらを警戒し泣きながらも私を見ている彼に、申し訳ないが話を続けてさせてもらう
『君は電話って知ってる?』
少年はフルフルと首を振る
『そこに置いてあるもの、見たことある?』
近くに置いていた私のスマホを指さす
少年はスマホ見て、また首を振る
『平成って知ってる?』
また首を振る
『今は戦国時代?』
今度はコクリと頷いた
『じゃあ、忍術学園って知ってる?』
その問いにより警戒を強くしながらも頷く彼
あぁこれはやっぱり
『うん、答えてくれてありがとう
これから言うこと、信じられないかもしれないけどちゃんと聞いてほしい
君もどうやら未来の世界に来てしまったみたい』
まず事実を伝える
何を言っているんだという目で睨まれるがそのまま話を続ける
『今は20××年、平成の時代、戦国時代より数百年後の先の未来の時代
いろんな技術が発達してさっき聞いたもの、見てもらったものが
この時代には当たり前に存在するの』
いきなり告げられたことに困惑する少年
「そんなことあるわけ…」とつぶやく声が聞こえた
『ごめんね、でも事実だから…
周りを見たり、近くの物も触っていいから
今の君の状況をゆっくり理解していってくれると嬉しい』
そう言うと少年は布団を握りしめたままキョロキョロと辺りを見る
物に触ろうとしないのはまだ警戒しているからだろうか
あ、でも電気のリモコンつんつんしてる
「…あの、続けて、ください」
数分して、少し落ち着いたのかこちらの話を促した
『ありがとう
なんで君が此処に来てしまったのか、それは分からないけれど
一度君のいる学園の、三反田数馬君って分かるかな?
その子もここに来ちゃってね』
「三年は組の三反田数馬先輩も?」
『うん、保健委員の数馬君も』
彼との数日を軽く説明する、かくかくしかじか
スマホを手に取り操作し2人で撮った写真も見せる
先輩の名前が出たからか、幾分か表情が柔らかくなった
少しは害はないと信用してくれたかな
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作者名:楓の姉 | 作成日時:2024年2月19日 14時