Episode 14 − 硝子夜空 ページ14
彼が眠りについてすぐに、彼女は叫んだ。
「どうして、ですか。何で貴女は彼に呼んで貰えるんですか! 私は必死に彼に着いていって、やっと隣に立てたのに! どうして!?」
「落ち着きなさいよ」
そんなたった一言。だが彼女は怒るのをぴたりと止めて、すみませんと呟くと彼の病室を出ていってしまう。仕事中だということを思い出したのだろう。彼女は怒りながらも冷静だった。
私も彼の病室を出ていこうとすると、入れ違いで橘くんが病室に入ってきた。正直、彼と藍守さんに関係があったことには驚いたが、何も聞けずに病室を出てしまった。
だが人間、気になるものは気になる。私は彼等の話を盗み聞きするために、彼の病室の一番近くの廊下で、バレない程度に耳を壁に当てる。
「はじめまして。僕は橘 桐也。城月の部下、とでも言えば分かるでしょう。今日はひとつ、お話にきた。」
話を聞くと、彼と藍守さんは初対面らしい。だが、彼は段々と口調が変わっていく。彼は、眠っている筈なのに、まるで恨みでもあるようだ。
「なぁ、藍守さん。突然だけど、僕は一人の女性として、城月玲子が好きだ。だが、城月はアンタが好きなんだとよ。看護師の村山もアンタを好いてるんだ。そこでひとつ、聞きたい。」
何故か涙が出そうなのを必死に抑え、息を潜める。藍守さんとの会話はあまり聞こえない。
「村山か城月……アンタは、どっちを選ぶんだ? あるいは、どちらも選ばない?」
眠っている筈の彼に問い掛ける橘くんは、何時ものクールな性格とは離れていて。ドア越しの橘くんの声にギュッと胸が締め付けられる感覚がする。息が、出来ない。
「なぁ、答えてくれよ。僕だって苦しんだよ!……このままじゃ、誰も救われないだろッ!」
聞きたくない、知りたくない。彼が起きているのか眠っているのかは分からないけれど、兎に角その言葉を聞きたくなくて。段々と重たくなる身体を必死に動かして自室に戻ろうとする。
だが、足元がぐらつき倒れてしまった。
「城月さん!」
ああ、看護師。そんなに叫ばなくてもちゃんと聞こえるわ。それに、やっと貴女の名前を覚えたのよ。きっと、少しでも彼と向き合えたからね。
「……村山利香、さん。彼のこ、とッを……よろしくね」
暫く、私の病室には誰も入らせないで。
その言葉を最後に私は目を閉じる。身体が鉛のように重くて、息が苦しくて。頭が可笑しくなりそうな激痛が走った後、私はゆっくりと意識を失った。
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梅藍(プロフ) - ユユリンさん» ?(°д°;)ノノ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 21e7bc37aa (このIDを非表示/違反報告)
ユユリン(プロフ) - 梅藍さん» フフふー(*´∀`) (2017年8月16日 19時) (レス) id: 09ad9bf273 (このIDを非表示/違反報告)
梅藍(プロフ) - ユユリンさん» 私のグラスが一番人数少ないんですけどねw17人です。多かったときは23人居たんですけど……!話がずれてる (2017年8月16日 16時) (レス) id: 21e7bc37aa (このIDを非表示/違反報告)
ユユリン(プロフ) - ほうほう…(^ー^) (2017年8月16日 16時) (レス) id: 09ad9bf273 (このIDを非表示/違反報告)
梅藍(プロフ) - ユユリンさん» うちの学校人数少ないので、小中一貫なんです。超田舎w (2017年8月16日 12時) (レス) id: 21e7bc37aa (このIDを非表示/違反報告)
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