14話 あの日の答え合わせ ページ14
＊
「なー」
「うん？」
「俺らさあ、1回会ってね？」
走り出してから暫くすると、佐野くんからぽつりと口に出されたその問いかけに危うく心臓が止まりかける。
が、それを悟られないように至って冷静に返した。
「え、毎日学校で会ってると思うけど…」
「そうじゃなくて。クラス同じになるよりずっと前に」
「…そうだっけ」
「覚えてない？」
彼は私にどう答えて欲しいんだろう。
そう思っていると、チラリと目線だけこちらに向けた佐野くんは首を傾げさせた。
「あ、覚えてんだ？」
「へ？いや私まだ何も言ってな、」
「いま指に力入ってたけど？ピクって」
言われてからハッとしたところで、もう遅い。
彼のお腹にピッタリと密着した手から私の動揺は全てお見通しだったようで、思わず大きなため息を吐いた。
「…だから走りながら話すなんて言ったの？佐野くんのいじわる」
「今の『いじわる』って言い方カワイーね」
「もう何それ…」
呆れるほどマイペースな佐野くんは、2年前と変わらぬ瞳を私に向けて笑いかけた。
「ま、覚えてんなら話早えな」
「話？」
「あん時はなんつーか…ありがとな」
「え…？」
この後どうなることやらと思っていれば、予想だにしなかったお礼に私はポカンと口を開ける。
少なくともお礼を言われる筋合いなど私の記憶には存在せず混乱していると、察した佐野くんは説明する。
「俺あの日けっこーキツイことあった後でさ」
「うん」
「人と話せて、人の温もり感じられて、後から思い返してみたら正直割とアレに救われたと思うんだよね」
あの行為は友人に対する慰めでも、まして恋人同士の甘い時間でもなんでもなかった。
私が人肌恋しくて、偶然出会った男の子もまた壊れそうだったから、触れてみた。
ただ、それだけ。
それだけの行為に、救われたというこれ以上ない肯定の言葉をもらって、私の方がこんなに良い思いをしていいのだろうかと思ってしまった。
「そっか…なら良かった。ん？良かったってのもおかしい？」
「全然。てかオマエは？」
「え？」
「オマエもやばかったんじゃねえの？あの時」
私に興味を持たなかった彼からそんな問いがくるとは思っておらず、つい言い淀む。
「私、は…」
「つーかメンタルやばくねえと誘えなくね？初対面の男なんか」
「相変わらず佐野くんって失礼だなぁ…」
まあそこが、彼の良さなんだろうけど。
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ルイ(プロフ) - チョコプリンさん» 前作に続いてこちらも楽しんで下さってありがとうございます😭✨そのお言葉がめちゃくちゃ嬉しいです！引き続き頑張っていきます〜💪 (2022年2月15日 17時) (
レス) @page24 id: cd547e9a61 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 前作からのファンです！🙋♀️もうめっっっちゃすきです！今後も応援させて頂きます📣💕 (2022年2月15日 7時) (レス) @page25 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - ゆたんぽさん» 嬉しいコメントありがとうございます！( ；∀；)頑張っていきますー！ (2022年1月25日 15時) (レス) @page10 id: cd547e9a61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - だめだ。好きな内容すぎて。仕事放棄して一気読みしてた。。。続き頑張ってください！応援してます！！ (2022年1月21日 14時) (レス) @page10 id: 7710f291f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - なさん» ありがとうございます！前作に続いて新作まで見ていただけてとても嬉しいです！楽しんでいただけるよう頑張ります(*´ω`*) (2022年1月18日 13時) (レス) id: cd547e9a61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2022年1月18日 2時
