89話 ページ10
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そして鼻血を出した影山の手当てに向かい、その後は二口にこれ以上探りを入れられないためにも谷地たちと合流した成宮。
試合中、条善寺は烏野のシンクロ攻撃をその場で真似してやってのけるなど、
"強さ"があるからこそずっと"遊ぶ"ことができていた。
だが、ついにその時は来る。
「試合終了ー!」
審判の旗が大きく上げられ、条善寺のボールがコート外へ静かに転がる。
「や…やったー!!Aちゃんやったね!」
「だねだね!ほらひーちゃんイエーイ!」
烏野の勝利が決まり、成宮はぴょんぴょん跳ねながら喜びを露わにする、自分より一回り小さい谷地とハイタッチを交わす。
彼女たちは急いで階段を降り、コートから出てきた彼らを朗らかに迎えた。
「「うぇーい!!」」
「ヒ、ヒィィ!!」
谷地相手に田中と西谷が二人同時にジャンプングハイタッチをしようとし、
縁下に止められている姿を横目で見ながら成宮はくすくす笑う。
「相変わらずひーちゃんは可愛いなぁ」
「ははっお前も大概だと思うぞー?ほらAも!うぇーい!」
そんな彼女に後ろから声をかけた菅原が軽く両手を上げ、わざとらしく肩をすくめた彼女もそこに自身の掌をぱちんと合わせる。
「スガさんお疲れ様です。影山不在の間、頼もしかったですね〜!」
「へっへ〜まぁな!…正セッターは影山だけどさ、困った時くらい先輩を頼りなさいっての!」
得意げに鼻をかきながらはにかんだ菅原を見て、成宮も「さすがです」と笑う。
こういう、優しさの中に一本芯の通った強さのある人だからこそ、みんなは付いて行くのだろうなと納得した。
…それは、私にはまだ足りないもの。
人を掌握することに長けていても、それはあくまで技術があるから。
成宮は、菅原が持ち合わせるそれをほんの少しだけ、羨ましく思ってしまった。
「あ!Bコートの試合終わった!」
「だとしたら勝ったほうが次の相手だ」
近くから聞こえてきた笛の音に反応した日向と影山が、そう言いながらすぐさまコートを覗いた。
「私たちも見に行きましょう!」
そう言って駆け出した成宮は日向と影山の肩に手を掛け、ぴょんと勢いよく飛ぶ。
「うおっA!?びっくりしたじゃんか!」
「あっははごめんね日向にとびちゃん!ついでにお疲れ!」
「ったく…あ、でも鼻血の時は悪かったな」
「いいえ〜これでもマネですから!で、次はどこと…」
次の対戦相手を確認した彼女の表情が、ぴしりと固まった。
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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか!嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ!おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!最終章まで近いですが頑張ります♪(おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)) (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……!展開の魅せかたがめっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます!赤葦くんかっこいいですよね…!次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルイ | 作成日時:2016年7月4日 15時