114話 ページ41
「A…？お前なに言ってるのか分かってんのか…？」
「えぇスガさん。でも春高で優勝することを目標にしているのに青城に負けるようなら、そこから先なんてつまらないでしょう？」
「ははっ言うねぇ成宮ちゃん」
恐れ入った、というように及川は目を細めて笑う。
未だに受け入れられない様子の菅原など目に入っていないのであろう、彼は迷うことなく掴んでいた成宮の手を優しく掬い上げる。
「ね、絶対に俺が君を楽しませるから」
そう言って、及川はすっと彼女の手に口付けを落とした。
まるで王子のような一連の出来事にさすがの成宮も一瞬驚くも、いつものように受け流した彼女は、最後に菅原を見て僅かに口角を上げ、満足げに去る及川の背中を見送ったのだった。
「さ！私たちも行きましょうかスガさん」
「……」
「スガさん？」
「…お前ふざけんなよ」
「え？」
拳を握りしめ、菅原は低い声で呟いた。
歩み出して一歩前にいた彼女はくるりと振り返り、きょとんと幼い顔を浮かべる。
それが、菅原には悲しかった。
言葉では表せないほど悲しくて、悲しくて堪らなかった。
「なんであんな提案乗ったんだ？」
「あぁそのこと…一つは面白そうだったから」
「それだけの理由で、俺らのことは切るつもりなんだ…？」
「ごめんなさい、それが私にとって全てなんです。でも何です？スガさんは負けるつもりで闘うんですか？」
「んな訳ないだろッ！…絶対に負けられなくなったんだから」
「…ふふっ」
場にそぐわず、鈴を鳴らすように彼女は笑う。
菅原が怒っているのは分かる。その理由も理解しているつもりだ。
だが、自分を想って目に涙を溜める菅原を見て、彼女の心は満たされていたのだ。
「ありがとうございますスガさん。二つ目の理由はね、烏野は勝つと信じていたから」
「！あーもう本当にお前はずるいのな…」
「最近はやられっぱなしでしたのでお返しです！」
してやったり顔で、彼女はにぱーっと笑う。
惚れた弱みだ。
そう言い聞かせて菅原も笑い返し、及川が口付けた方の彼女の手と自分の手を絡ませた。
「お？ふふっ…私も精一杯応援します。絶対に勝ちましょうね！」
「当たり前だろ！あ、そこだよウチ」
「へ…も、もう着いたんです！？」
「うん、結構近いだろ？ほら入るぞ〜」
「ちょまっ、まだ心の準備が！」
「ただいま〜後輩連れて来た！」
「聞いて下さいよ！？」
聞く耳を持たず、彼は笑いながら玄関の扉を開けた。
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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか！嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (
レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ！おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます！！最終章まで近いですが頑張ります♪（おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)） (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……！展開の魅せかたがめっちゃ好きです！！更新頑張ってください！ (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます！赤葦くんかっこいいですよね…！次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです！ (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2016年7月4日 15時
