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85話 ページ5




及川が岩泉に引きずられるように退場してから、成宮と日向は並んで歩き出す。
話題はもちろん、先程までのことだった。


「しっかしほんとAってすごいよなぁ〜大王様相手にあんだけ堂々としてられるんだもんな!」

「そう?彼は確かにすごいけどそこまで恐れる相手でもないよ。むしろ私的には人間味のある方だと思うけどなぁ」


なんて余裕そうな言葉をふふっと笑いながら言う成宮に「すげぇ!かっけぇ!」と目をキラキラさせる日向。

そんな日向を優しい眼差しで成宮は見つめる。


「(最初、日向のこのキラキラした嘘偽りない言動に惹かれてこの部に入ったんだよなぁ…)」


それほど前の話でもないにも関わらず、ここに辿り着くまでの時間があまりにも楽しすぎて、随分昔の出来事のように思えてしまう。

烏野バレー部に入ってからのかけがえのない時間、それは彼女の人生の中で最も光輝いていたひと時であった。


「…日向、」

「ん?どうした?」


思わず、気付いた時にはつい口が動いていた。
いつものように作られた完璧な笑顔ではなく、優しく温かい微笑みを浮かべた成宮が彼を真っすぐに見て言う。


「ありがとう」


それは、一瞬時が止まったのではないかと思えるような出来事だった。

凛とした彼女の声を聴いた日向はハッとする。


「きゅ、急にどうした!?A、熱でもあるんじゃないのか!?」

「失礼だなぁ〜私だって感謝の心くらいは持ち合わせていますぅ!…ほら、みんな待ってるだろうし急ごっか!」


そう言って駆けだした彼女もまた、日向同様にキラキラと輝いていた。

こんな時間がずっと続けば良い。
かけがえのない仲間たちと過ごす青春は彼女にとって夢のようだったのだ。これが夢だとしても…この時間が偽物だとしても、不幸な現実よりよっぽど素敵だ、そう思えてきさえする。


「勝とうね日向!」

「おう!当たり前だろ!」


やっぱり私の居場所は、ここにある。

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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか!嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ!おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!最終章まで近いですが頑張ります♪(おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)) (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……!展開の魅せかたがめっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます!赤葦くんかっこいいですよね…!次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルイ | 作成日時:2016年7月4日 15時

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