110話 ページ37
「私みたいに、でした？なら例えば…あの大型セッターの、黄金川くん？彼を切るか、春高で通用する技術力を叩き込んでから言って下さい。どんな方法を使っても」
その言葉を聞いて、二口は思わず俯いていた顔をパッと上げる。
そこには今まで見たことのない冷めた瞳でこちらを見上げる少女がいた。
「は…？でもあいつはまだ初心者でこれから、」
「関係ない。経験の差を言い訳する暇があるなら勝利のために頭使って下さい。彼は明らかに今回足手まといだった」
「……」
「チャンスはいつでもあると思うな」
畳み掛ける鋭い言葉に、何も言い返せなくなる。
彼女の言うことは最もだ。黄金川はあれだけの身長を有しながら、今回の試合で未熟な点が間違いなく伊達工一多かっただろう。
だが、しかし。
「…け…な」
「はい？聞こえませんけど」
「ふざけんなッ！アイツはアイツなりに頑張ってた！それは俺が一番よく知ってる！」
「頑張れば、結果はいらないの？」
「ッ！」
声を張り上げた二口に彼女はすぐさま返す。
黄金川の人柄、そして努力を目の前で見てきたからこそ、憧れた成宮の言葉であっても二口はどうしても受け入れられなかったのだ。
二人はしばらく静かに互いを見つめ合う。
やがてくすりと笑った彼女が口元に手を当てた。
「ふふっ。ごめんなさいにろ先輩。私意地悪言っちゃいました」
「あ？」
「先輩はこんなに良い主将さんじゃないですか」
「？どういう…」
「仲間のことをよく見て、仲間ために心から怒ることができる、素敵な主将さんです」
「んなの当たり前…」
「じゃないですよ。当然のようで、容易なことではありません」
優しく微笑んだ彼女は二口の頭にぽんと手を置く。
「私のようでなくていいんです。貴方にしかできない伊達工の主将であって下さい」
「ッ…あーもう何だよくそ…」
「お？にろ先輩も可愛いとこあるんですねぇ〜今日だけ私の胸貸します？」
「…お前貸すほどねーじゃん」
「ちょっと普通にセクハラですけど！？少しはありますし！」
「ははっ！」
大きな笑い声を上げた彼は、もうすでに何かが吹っ切れすっきりとした顔をしていた。
「呼び止めて愚痴って悪かったな、えと、成宮？」
「クイーンでも良いですよ。先輩はギャンブルしてる時の私に憧れているみたいですし？」
「わ、忘れろ！…ま、これからも普通に仲良くしてもらえると嬉しい。改めてよろしく、クイーン」
「ん。こちらこそです！」
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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか！嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (
レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ！おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます！！最終章まで近いですが頑張ります♪（おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)） (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……！展開の魅せかたがめっちゃ好きです！！更新頑張ってください！ (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます！赤葦くんかっこいいですよね…！次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです！ (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2016年7月4日 15時
