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96話 ページ20

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「…とまぁ成宮シークレット第一弾はこんなもんですかね」


彼女から淡々と告げられた、16歳の少女が背負うにはあまりにも重すぎる過去。

この子はこの重さに耐えるために、一体、今までどれほど傷付いてきたというのだろうか。

それはとても自分には想像もできないくらいだろう。

何て言葉をかけて良いのか分からず、菅原はただいつの間にか流れていた自分の涙を止めることができなかった。


「あぁ…ほらもうこうなるから今まであまり言いたくなかったんですよ〜。スガさん、私は大丈夫です」

「ズッ…だ、いじょうぶ…?お前、本当に…?」

「…はい。ツッキーが気にかけてくれて、スガさんが話を聞いてくれて。幸せ者だなぁと実感していた今日のこの頃って感じです!」


にこっといつも通り笑った成宮の瞳を見てハッとする。


違う。この笑顔は、絶対に違う。

俺は、こんな笑顔をずっと見ていたいわけじゃない。


_____刹那、お互いの間に流れる空気が一瞬止まった


気付いた時には、菅原は彼女の身体を強く、強く抱きしめていた。

いつぞやの帰り道、頬を腫らしながら気にも留めない彼女を怒った時のように。

いや、その時よりもさらに強く、だが優しく。


世界で一番儚いものを抱えるかのように、彼女を包み込んだ。


「な、に…スガさん、離してよ…」

「ごめん、今は聞いてやれない」

「ッ…やめて、やめてよ!別に同情されたくて話したわけじゃないっ…」

「うん知ってる。別に同情じゃないよ」

「…じゃあ何だって言うんですかッ!」


声を荒げる彼女の背中をゆっくりとさすり、菅原は目を閉じる。


同情することは簡単だ。

でもそんなものを彼女が必要としているわけじゃない。それは単なる自己満足ににしかなり得ない。


俺は…俺の気持ちは。


「A、ごめん。”大丈夫か”なんて聞かれたら大丈夫って言うしかないよな」

「へ…いや、別に私、本当にだいじょ」

「うん…お前はそう言うよな。でもA、これだけは覚えてて欲しいんだけど、」

「?」


コテっと首を傾げる彼女の姿はいつものようなあざとさは無く、年相応の幼さが残っており、菅原は嬉しさで思わずふわりと微笑む。


「俺、お前の”大丈夫”になりたいんだ」


目を見開く彼女の大きな瞳から、宝石のような美しい雫が零れ落ちた。


それは、魔法が解けた合図のようで。

彼女が被り続けた仮面に、ピシリと大きくヒビが入った瞬間だった。


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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか!嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ!おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!最終章まで近いですが頑張ります♪(おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)) (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……!展開の魅せかたがめっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます!赤葦くんかっこいいですよね…!次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルイ | 作成日時:2016年7月4日 15時

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