93話 ページ15
＊
「そーれ！」
「うわぁ！？」
「あっはは成宮必殺スペシャル膝かっくん大成功〜！」
「お前なぁ…」
体育館で明日の試合に向けたミーティングを終えた後、彼らは校門で待ち合わせをしていた。
そして後ろからそろりそろりとやって来た成宮が無邪気に笑いながらイタズラを仕掛け、苦笑いしつつどこか穏やかな顔をした菅原も大人しく横に並ぶ。
「よっしお待たせしましたスガさん、行きましょうか」
和やかに、しばらくは今日の試合のことや最近見たテレビなどの談笑していた2人。
彼女とこういう風に話すのは、とても心地が良い。
(本人が知られたくたい重い話なんて、本当は俺が聞かない方が良いんじゃないか？)
そんな思考が一瞬、菅原の頭を過るも、それでは駄目だとすぐに心の中で頭を振る。
彼女は自分から絶対に弱音を吐かない。これまで一緒に部活をしてきて、それは菅原もよく分かっていた。
だからこそ少しでも、ほんの少しでも。
自分が彼女の助けになれたら、なんて思わずにはいられなかったのだ。
歩きながらそんなことを考え、このままでは肝心なことを聞く前に着いてしまうと思った菅原がやっとの事で、言葉を紡ごうとした。
「なぁA、あの…さ、」
「んもう〜スガさん意外とせっかちさんですね？心配せずともお話しますよ。でもその前に…」
ぴょん、と兎の如く大きく一歩前にジャンプした成宮が、振り返りざまににやーっと愛らしい笑みを浮かべる。
一瞬嫌な予感が過ぎった菅原が顔を顰めるも、彼女の突拍子もなさは今に始まったことではないので、何が来るのかと身構える。
「スガさん！あそこの橋の下まで私と競争です！」
「はい！？何で！？」
「行きますよ？よーい…ドン！」
「え、待っ、」
言い切るやいなや、全速力で駆け出した成宮。
彼女にしては幼いデザインのリュックが揺れる後ろ姿を可愛いなぁとぼんやり見つめ、やがてハッとした菅原も慌てて走り出した。
成宮のことだ、負けたら何を要求されるか分かったものじゃない。
そんな思考が頭をよぎり、走り出した菅原も目一杯駆け抜ける。
あと5m、3m、1m …！
「はっ…はぁ…追いつい、た…！」
「はぁっ…はぁっ…スガさん、お見事です…！あ、しっかりお水も飲んで下さいね〜？あ〜疲れた！」
その場にしゃがみこみ、楽しそうに笑う成宮。
もやもや、ぐるぐる。
あれこれ考え巡らせ、曇り空だった菅原の思考は、いつの間にか晴れていた。
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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか！嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (
レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ！おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます！！最終章まで近いですが頑張ります♪（おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)） (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……！展開の魅せかたがめっちゃ好きです！！更新頑張ってください！ (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます！赤葦くんかっこいいですよね…！次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです！ (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ | 作成日時：2016年7月4日 15時
