Another story2 ページ14
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【2.菅原→成宮】
「スガって成宮に対しては、特にスキンシップ多いよな」
「え?そうか?」
教室で昼ごはんを食べながら何気なく大地から出てきたそんな言葉に、思わず口に運んでいたパンをぽろりと落とす。
別に、そんなつもりなかったけど…いや、というか女子にスキンシップって下手したらセクハラじゃない!?
そう思って顔を青ざめさせていると、それに気付いた大地が「ま、成宮本人は嬉しそうだけどな」と笑いながらさり気ないフォローを入れてくれた。
以前、田中にAのことをどう思うか聞いた時、自分が恋愛対象として彼女を好いているのだと勘違いされたことがあった。
その時は本当に純粋な疑問で聞いただけだったので、即座に否定したが、果たして今はどうだろうか。
なんていう俺の思考を読み取ったかのように、大地は続ける。
「実際のところどうなんだ?成宮のこと」
「んー…分かんねーべ」
そう、菅原は近頃、これまた純粋に彼女への想いがどのベクトルのものなのか判断しかねていたのだ。
"そうですね…敷いて言うならギャンブルです"
普通の女子高生では珍しい趣味。
"他人に服従心を植え付けるためには、何を与えればいいと思います?"
異様なまでに手馴れている人心掌握術。
"私が一番嫌いなものは…理不尽なんです…"
そう言って完璧だった彼女が涙を流した日の、美しくも消え入りそうな姿。
菅原は成宮の様々な顔を知り、いつの間にか目が離せなくなっていた。
気にならないわけがないじゃないか、分厚い仮面の下に隠された彼女の素顔を。
だが、それでも一番に浮かぶのは…
"私、初めてなんです。大人数でバーベキューなんて…!"
いつだってあいつの笑顔だった。
とびきりキラキラさせた彼女の笑顔を思い浮かべると、心がじんわりと温かくなるのだ。
「恋愛的に好きかは正直まだよく分かんないけど…俺、Aの本当の笑顔が見たいんだと思う」
ぼんやりとそんなことを呟いた菅原の穏やかな表情を見て、目を丸くする澤村。
「…スガ、それってもう、」
「ん?」
「!いや…何でもない」
("好き"ってことなんじゃないのか?)
俺から言うことでもないだろう、そう思った澤村はすんでのところでその言葉をぐっと飲み込んだのだった。
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おもち。(プロフ) - ルイさん» 本当ですか!嬉しいです(^^♪最終章まで楽しませていただきます(*´`) (2020年4月17日 1時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - おもち。さん» わぁぁ!おもち。さん、とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!最終章まで近いですが頑張ります♪(おもち。さんの素敵な小説も拝見させて頂いております(*´ω`*)) (2020年4月16日 21時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 今まで読んできた小説の中で内容や設定1番好きかもしれません……!展開の魅せかたがめっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2020年4月16日 16時) (レス) id: 753b9a62df (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 佑奈さん» 佑奈さんありがとうございます!赤葦くんかっこいいですよね…!次の章からはまた登場予定なので楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
佑奈(プロフ) - このお話の赤葦くん好き… (2020年4月14日 15時) (レス) id: 174bbcca55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルイ | 作成日時:2016年7月4日 15時