吸血鬼と私【After the Rain】 (ページ43)

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38話ページ43

誰かの気配を感じてパチッと目を開いた。

『んっ……ここは…？あ、そうだ、寝かしてもらってたんだ…』

「あっ、Aちゃん、おはようございます？」

まふくんはベッドの隣の椅子に腰をかけていた。
ノートとかを広げてるあたりまた作曲をしてたのだろう。

「大丈夫ですか？…そらるさんから聞きました。また僕が暴走してしまって申し訳ないです…」

『あ、ううん、大丈夫だから！』

「その大丈夫が危ないんだろうが」

『そらるさん…！』

扉の方にそらるさんが立っていた。
私の方へ近づき、その綺麗で大きな手で私の頬を包む。

「少しは自分を大切にしろ」

そう言うとまふくんは同感するように頷きを繰り返す。

「僕もちゃんと自制利かすようにするから…。僕が未熟なせいでAちゃんが傷つくのは見たくない」

『あ……ごめんなさい』

「いえ、僕らの方も悪いんです、ごめんね」

そう言うとまふくんは私の頭をわしゃわしゃした。

『ちょっ…！？髪ぐしゃぐしゃになる～』

「放課後だし帰るか」

「そうですね」

『え！？放課後！？もう！？』

ーーー

3人で昇降口に向かった。

「ねぇ、Aちゃんちょっと時間いいかな？」

下駄箱の前で天月くんが待っていた。

『うん、いいよ？』

「告白かー？」

「え！？天月くんそんな…！！」

「あ、2人にも用があります」

2人はおもむろに頭の中がはてなになっていた。
きっと話さなきゃいけない。
これからのことを天月くんは2人に伝えるつもりなのだろう。

「ここではあまり言えないからどっか寄っていきませんか？」

場所を移動して、裏道にある人気の少ないカフェに入った。

お店の人と知り合いなのか、天月くんはいつものと答えてた。

貴方たちは？と聞かれ、まふくんがカプチーノ、そらるさんはカフェモカ。
わたわたしてたら、まふくんが彼女に甘い物をお願いします。と注文する。

飲み物が来ると、天月くんが真剣な顔になり、こちらにも空気がピリッてなる。

「説明めんどくさいから単刀直入に言うね？」

彼はそう言って、この前貰ったばかりの名刺を2人に渡していた。

「僕ね、こういうものなんです」

「ゴーストハンター？」

「ヴァンパイアハンター…」

そらるさんとまふくんが同時に発した。

まふくんがガタッて荒く椅子を引く。
きっと天月くんの事を警戒したのだろう。

「その様子だと知ってるようかな？落ち着いてまふくん、僕は攻撃したりしない」

「そんなのどう信じればいいんですか！！」