吸血鬼と私【After the Rain】 (ページ38)

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34話ページ38

空き教室につき、奏音さんの名前をぼそっと呼んでみた。

………………。

あれ？また話せるって言ってたのに…。

ガラッ…。

扉が開いた方へ視線を移す。

「星河奏音のこと？」

彼はにやりと妖しく笑っていた。

『なんで奏音さんの事を天月くんが…』

「んー、だって、このまま星河奏音と話していたらAちゃん自分の意思とかなくなってた……乗っ取られてたよ？？」

衝撃の一言だった。
あの優しい彼女が乗っ取りを考えてたなんて思いもしなかった。
もし、そんな事が起きたらとても怖いと感じた。

ぺたんとその場に座り込んでしまう。

「だ、大丈夫？？驚かすつもりはなかったんだけど…でも、このままだとAちゃんが危なかったから」

そう言い彼は手を差し伸ばし、立たせてくれた。

疑問になった事を天月くんに問いかける。

『どうして、天月くんは奏音さんの事を…』

彼はうん？なんて言いながら、ブレザーのポケットをガサゴソし始めた。
そして、手渡されたのは1枚の名刺。

そこには、ゴーストハンター天宮翔太と書かれた名刺。

「ほい！これ僕のね！」

『あ、ありがとう？』

「ちなみにヴァンパイアハンターでもあるけどねぇ～」

なんて呑気に天月くんは言った。

『ヴァンパイアハンター…？』

「そう！悪い吸血鬼を捕まえなきゃいけないのー！大変なんだよねぇ、あいつらは身体的に能力や体力、力が人間として全然かけ離れてるから～」

『へ、へぇ～、なんかすごいね』

これはまふくんたちのことは黙ってないといけないな。

「それに人間から吸血鬼なっちゃった人を救いたいってのもあるけどね！」

彼はそう言い笑顔を向ける。

丁度、朝の授業が始まる予備のチャイムが学校に響き渡る。

「ん、教室戻ろう？」

『うん』

ーーーーーーーーー
教室に入るなりまふくんからサボりのお誘いをもらう。

「あっ！Aちゃん！サボりまs」

『サボらないよ…』

むぅーと向ける彼に座るよう促す。

「はいはい、まふくん座る～！」

「ちょっ！天月くん肩！！座るから！」

「よろしい！あんまり学級委員を困らせないでよ…。毎回先生誤魔化すの大変なんだから」

「今度、ラーメン奢ります」

「ん、じゃ今日ね」

「いいでしょう！」

なんて会話をしてると先生が教室に入ってきたため、皆一斉に自分の席に戻る。

授業が始まるにつれて段々飽きてくるものだ。
私はぼーっと空を眺めることにした。