吸血鬼と私【After the Rain】 (ページ34)

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30話ページ34

帰ってきてすぐそらるさんの部屋に向かった。

トントン…

『そらるさん…いますか…？』

扉をノックした後、声をかけたがいないのだろうか？
靴があったから先に帰ってきたのかと思ったが……。

ガチャっと顔だけが見れる隙間だけ扉が開く。

「なんの用？」

突き放すような彼の冷たい声にすこし怖いと感じたが怖気ず、その質問を返す。

『お話があってきました。部屋に入れさせてくれませんか？』

彼にそう言うと、少しの間があったが部屋を通してくれた。

「入って」

…

「そらるさん、単刀直入に言います、星河奏音さんは覚えてますか？」

そらるさんは間が空いたものの質問の返答を返す。

「うん……まふまふの彼女だった人。そして俺がころした人でもある」

目を伏せて彼はそう言った。

「…奏音は人懐っこくて、いい子だったよ。だけど、俺らは吸血鬼だから…血を吸うことに抗えないんだよ…気づいたら、全ての血をまふと一緒に吸ってた。…所詮、人の身を纏った化け物さ…」

私はそらるさんの両頬をパチンと手で挟む。

「な、なにする…んだよ…」

『そらるさんもまふくんも吸血鬼だったとしても！！感情がちゃんとあるじゃないですか！！じゃあ、なんで押し倒した時、悲しい顔したんですか！！後悔してるんですよね！なら、いつまでも引きづってないで前を向いて下さいよ！』

「俺は…そんな事…できな」

『出来ないって否定しないでください！ゆっくりでいいんですから！』

「あ…う……うん。さっきは悪かった、ごめん。」

『いえ、そらるさんが優しい人だって言うのは分かってますから。さぁ、晩御飯にしますよ！何がいいですか？』

そう問いかけ、彼はぼそりと呟く。

「…オムライスがいい」

『了解です』

ーー

料理中

何故だろうか、一向にそらるさんが離れてくれない。
ぎゅぅぅぅと腰に手を回してる。
まふくんはずっと頬を膨らませているし、いろはちゃんとぽてとちゃんは足元にいるから移動するにも出来ない。

『そらるさん、危ないから離れてくれませんか？ほら、いろはもぽてとも危ないよ～火を使うからちょっとあっち行っててね～』

「嫌だ、Aと居ないとしんじゃう」

なんて可愛い駄々を捏ねてきた。

『まふくーん、剥がして～！』

ガタッと椅子から立ち上がり、そらるさんを剥がす。

「はーい、そらるさんこっち来ようねぇ～、いろー、ぽてと！ちゅーるあげるよ～」

そう言うと猫達は離れていき、そらるさんも椅子に座らされてた。