もしもの日常(虹) (ページ16)

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声を上げて泣き出したAの背中をさする

少しずつ落ち着いてきた頃身体をゆっくりと離した

重「すっきりしたか？」

『ん。ありがと』

鼻声すぎて思わず笑ってもうた

それにつられてAも鼻で息出来へんなんていうて笑った

『なんかほんまにすっきりしたかも』

重「俺のおかげ？」

『認めたくないけど仕方ないからうんって言うとくわ』

重「おい！」

髪の毛をわしゃわしゃとするとAが逃げようとして

それを逃がすまいと腕を掴む

ボサボサになってしまった髪の毛をかき分けると少し腫れぼったくなっている目が見えてそこに触れる

重「明日腫れへんように冷やしとかなあかんな。あと服も洗うから」

『…ありがと』

重「なに。照れてんの」

『てっ…照れてへんわ！あほか！』

まぶたから頬に手を移す

心臓の鼓動がだいぶうるさい

重「照れろや」

『なんやそれ』

少しずつ顔を近付けていってもAが逃げる気配はない

重「嫌やったら突き飛ばしてええから」

その言葉に返事が返ってくることはなくて

もちろん突き飛ばされることもなかった

それを肯定だと都合よく捉え唇にキスをした

思っていたよりもあたたかくて柔らかい

一度離してみたけど唇の感触を求めてまたキスをする

下唇を食むと肩に力が入ったのがわかった