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なぜか彼は社内に戻ろうとしていたが藤崎さんがその腕を掴んだ
何を話しているかまではわからない
しばらくすると腕を引っ張られたままこちらに近付いてきた
藤「Aさんすみません！北脇さんのこと少しだけお借りします！」
『あ、はい』
北「何を勝手に」
彼女の勢いに負けて返事をしてしまった
彼も力を入れたら腕を振り解けるはずだろうにそのまま連れていかれている
1人取り残されなんとも言えない気持ちになる
でもまぁ…うん
彼女がここに来て彼を連れていったということは仕事関連ではあるはず
それにお借りしますって…
私が彼女だということを知っているのだろう
これはもう待つしかないのだ
私には何も出来ない
その次の日から彼の表情が変わった
変わったというか元に戻ったというか
月夜野でのトラブルに関して何か進展があったのだろう
その日の夜に送ったメッセージには既読がつくだけで返信は来なかった
返事がないのにまたメッセージを送るのが嫌で私もそのまま放置している
きっと忙しいんだ
それから何日かして月夜野でのトラブルが解決したとの噂が聞こえてきた
良かった、と思うと同時に彼はまた向こうに戻るのだろうかということも気になった
相変わらず彼からは一切連絡はない
同じ場所で働いているはずなのに話すこともない
もうそろそろ電話くらいしてもいいだろうか…
さすがにさみしい
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作者名：うー | 作成日時：2023年5月2日 9時
