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『私は…何も出来てない…』


北「出来てる。Aのおかげで南も助かってる」


『雅美は?』




彼はぐっと眉間に皺を寄せた




『私はね…開発の才能がある南さんと、開発部でも知財部でもなんでもこなせちゃう北脇さんと違って何も持ってないの』



久しぶりに彼に向けて北脇さんなんて言ってしまった



性格が悪すぎるな私は




北「そんなことはない」


『だって…』




涙がこぼれ落ちる直前



彼は私の腕を掴んで歩き始めた



タクシーに乗り込み着いた先は彼の家



口を開いたら泣いてしまいそうで唇を噛む





北「お腹空いてるよね」


『だい、じょうぶ』


北「作るから待っててくれる?」


『ありがとう』




私が何を考えているのか彼はわかっているんだろうか



それはわからなかったとしても私が泣きそうな事だけはわかっていると思う



だから…




『優しいよね』




呟いた言葉は彼に届かなかったらしい




知財部に移動してからは特に無愛想で機械的な人だと思われることが増えたと思う



本当はそんなじゃないのに…



でも私は本当の彼を知っているという優越感はあった



それだって今となっては藤崎さんも気付き始めてるんだと思う



ついに涙がこぼれ、バレないようにとソファーの上に体育座りをしてうずくまる

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作者名:うー | 作成日時:2023年5月2日 9時

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