★°・.伊野尾さんの短編集。・.☆

恋のはじまり。 ページ37

「行ってきまーす!!」


いつもと変わらない朝


決まって寝坊してしまう私は


慌ただしく学校に向かう






まもなく、〇〇行き＿＿＿＿…





「急がなきゃ…。」





走ってギリギリで車内に乗り込んだ


朝だから混んでるなぁ






「寒い、てかマフラー忘れたぁ……」





ショックのあまり

周りに聞こえるくらい大きな声を出してた


今日は一日冷え込むのにな。









「っ…いたぁ」





押されて

押されて


やっと電車から脱出。









『…のっ、あの!!
これ、落としてた。』







あれ、




「伊野尾…くん？」






私の学生証を拾ってくれた人



偶然にも、同じクラスの伊野尾慧くん。






『…今日、珍しく寝坊しちゃった。 』




伊野尾くん、いつも早起きなのに

確かに珍しい。




「あ、ありがとう！ 急ぎなのにごめんね、」







何故か


学生証を受け取る私の手を離そうとしない






『寒いっしょ…。顔真っ赤だし。』







くるくるくる




私の首に巻かれていく


伊野尾くんの体温が残るマフラー。







やばい、近い。







「や、あ、の……すぐ近くだしっ、伊野尾くんも寒いでしょ？！///」





めっちゃテンパってる私を見て







『じゃあさ、手、繋いでくんない…？ 』








え、



「あっ、///」





良いよなんて言ってないけど



すぐさま手を伸ばす伊野尾くん。






『これで十分…。すっげぇあったまる…///』







ぼそっと呟く伊野尾くん




その横顔は



真っ赤だった。






【おわり。】

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