誘惑会。shori.s -2-

come home .57 ページ12

Aside.




もうすぐ授業が始まるというのに、
どこかへ行って帰ってこない彼。


毒ばっかり吐くから、
遅刻して怒られればいい。なんて思うけど…





A 「あ、健人くん。」

さっき教室に戻ってきたばかりの彼に声をかける。



A 「佐藤くん知らない？」

健人 「西側の廊下のところ。」


呼んできてあげなよ、という彼の言葉のまま、
私はその場所に歩いていった。









・









勝利 「馬鹿なの？」

そんな心優しい私に降りかかった言葉は
なんとも彼らしくて、


勝利 「見てわかんないかな、このフサフサ感。」

ドヤ顔の佐藤くんだけど、少し変で、
フサフサ感って何？w




A 「日本語おかしい。」

勝利 「あんたは全ておかしい。」

A 「あんたじゃない。」









私がムキになって言い返すのを
嘲笑うように見ていた彼が、
なぜか私に手を伸ばした。


私の髪に触れる。







勝利 「ほら、この前からちゃんと乾かすようにしたから。」

あんたの髪もマシになった、と言う。





口調も態度も今まで通りなのに、
切ない顔をした彼の表情が離れなかった。









ぶっきらぼうだけど気にかけてくれる佐藤くんは、
きっと心の隅では私のこと、そんなに嫌いじゃないのかもしれないと思った。



A 「セクハラ。」

そう笑った私にまた怒った顔の彼。



勝利 「調子に乗るな。」

その言葉と同時に授業開始のチャイムが鳴って、
二人して大急ぎで走り出した。

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