購入 ページ9
ガラス張りの小さな店に並ぶ道を進んでいくと
伊藤さんがその中でも紫色と白で少し統一してあるところに、足を運ぶ。
それを追いかけるように歩いていくと、
中にはパソコンやテレビなど、いろいろなものが宝石のように、ホコリ一つなく置かれていた。
そんなものには目もくれず
一番奥のショーケースのような物がある場所に、緑色の矢印が浮遊しているのが見える。
「多分ここで買えるはずだよ」
まず、ぐち逸さんがそれに触れると虚無の空間からスマホが現れ、彼の手に収まった。
「お、買えました」
『じゃあ俺も買いますね』
購入画面が現れ、buyの文字を押す。
右上の所持金が代金の分抜かれ、そのかわりに俺の手にはスマホが握られていた。
試しに電源ボタンらしいところを押してみると
ロック画面が現れる。
下から上に人差し指でスライドすると、少ないが、アプリが入っているホーム画面がうつった。
「simカードさして見ますか」
『そうですね』
新しく買ったスマホのカードを抜き取り、先程ポケットを入れたカードをいれる。
すると画面が暗くなり、再び電源ボタンを押してみると
何やら花?の写真のロック画面が現れた。
これは記憶の無くす前の俺がやったってことか
ホーム画面を見ていると、メールアプリに部分に“99+”という赤いマークがついていた。
これは後で見ようかな。嫌な予感がプンプンするけど。
「そうだ、連絡先交換しません?」
『確かに。伊藤さんもいいですか?』
「いいよ!ちょっとまってね」
電話マークのアプリを押し、プロフィールを開く。
…自分の名前の部分が気持ちの悪いほどに文字化けしており、もとから入っている連絡先もぐちゃぐちゃとした字で埋め尽くされていた。
とにかく、名前を渚Aに変え、送られてきた連絡先を登録する。
『そうだ、記念に写真撮りません?』
「おー!いいの!?」「ああ、いいですね、それ。」
3人で並び、横向きにしたスマホを手にした腕を伸ばす。
全員が映るように動かすと、シャッターボタンを押した。
3の文字が浮かび上がる。
それは2,1と数が減っていき
0には3人の笑顔がはっきりと写った写真が取れた。
『後で送っておきますね』
「いい思い出が出来たな!」
「ですね」
俺はちょっとだけ、心があったかくなったように感じていた。
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