第八話「羅生門と人の名前」 ページ10
席の話だが、私はノルさんという方のお隣だ、窓側一番後ろ。
よくぼんやりしていらっしゃる。
うん。初めから、現代文。
うれしいです。
羅生門です。
私、羅生門好きだからうれしいよ！最初に読んだのは中1だったっけ。
でも、鼻も好きだよ。芥川龍之介の本は面白いしすぐにお手軽に読めるから大好きだわ。そこら辺の古本屋に必ず一冊は100円くらいで置いてあるよきっと。
本当、おすすめ。って誰に教えてんだよ私。
とかばかみたいな事考えながら、楽しく授業を受ける。
こんなに生き生きと国語とか現代文とか古文の授業を受けたのは中学以来だ。
何一人で実況してんだよ私←
自分がきもくなってきたよ。
で、終わった。
休み時間。羅生門、面白かったなあなんて戯言を言っていたのは私です。
マキの方のお隣さんは、フェリ君のお兄さんのロヴィーノさんですって。
「マキ〜。初日から羅生門なんて私ってついてるー！」
「本当、お前、羅生門好きだよなあ。」
「ふふふ。まあね。」
「ところでクラスメイトの名前覚えたか？」
「まだ、ちっとも。でも、紹介してもらった時、メモしておいた。」
「A……」
「だって、簡単に人の名前を覚えれるような人間じゃないからさ」
「どういうことけ？」
お隣のノルさんが言った。ノルさんはたしか……デンさん、ティノさん、ベールヴァルドさんでしたっけ、と話していらっしゃる。
「えーとね、私、人の名前とか覚えるの苦手でね。なんでだろう。夏休み明けとかクラスメイトの名前の半分を忘れたことがある。」
馬鹿みたいにへらりと笑う。そんな私を見る彼らの目は驚愕と憐れみを持っていた。
「え」
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作者名：エリー@博愛主義 | 作成日時：2015年5月22日 21時
