弱ペダ短編集♪ (ページ4)

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Side.荒北ページ4

チラっと部室に寄ってみるも、誰もいない。
他の学年はまだ終わってないのだろうか。
息抜きに、と顔を出しに来たのだが、来るのが早すぎただろうか。
泉田か黒田あたりにでも連絡を入れようか、と考えていた時。
黒田の方から連絡が入る。
どこにいるか、と聞かれたので、部室と簡潔に連絡しておく。
長々しい言葉を打つのは好きではないし、面倒くさいのだ。
すると、黒田からはありがとうございます、と。
用があるから待っていてほしい、とのことだった。

「ったく……。来るまで何してろっつうんだヨ」

せめていつ来るか伝えてくれればよかったのに、と。
いや、きいておけばよかったのか。

「荒北さん！」

やって来たのは黒田と、女？
女連れで会いに来てどうしたというのか。
恋愛相談？
そんなわけではないだろう。
そもそも俺がそういうものに興味が無いことはわかってるはずだ。
じゃあなんだってことだがわからない。

「待たせてしまってすみません。用があるのは俺じゃなくて、彼女なんです」

一人の女が何の用があるのか、そう思ってしまう。
彼女はオドオドした様子で正面に立つ。
何かしたのかと考えてみるが、思いつかない。
彼女はなかなか口を開かない。
なので、こちらから問いかける。
ずっとこのままも気まずいので。

「何の用なのォ？」

すると、やっと口を開いてくれる。
が、声は聞こえない。
パクパクと口が動いてるのだが。

「あ、あ、あ、あの……！」

あ、が多い。
俺のことが怖いのだろうか。
そんな予想も次の言葉で違うということがわかる。

「好きです……！付き合ってください……！」

言葉をきいて、俺の頭は理解しようとはしてくれなかった。
それどころか、思考が止まってしまった。
ぽかん、となったが、正気に戻り、黒田に問う。

「ドッキリ、じゃないよねェ？」

立会人のように間に立っている黒田。
彼に小声で聞いてみる。

「本当ですよ」

そう言われ、また戸惑ってしまう。
人に、しかも女に好かれるなんて思っていなかった。
好かれても、ニオイでわかると思っていた。
実際は全然わからなかった。
返事をしなければいけないのか。
返事……。

「……わりィ。付き合えねェ」

言葉が思いつかず、簡単な言葉で伝える。
国語は得意ではないのだ。

「そう、ですか……。忙しい時期にすみませんでした……」

そう言って走り去っていく。
黒田はその場で。