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「 お〜い、まふくん? 」


何処からか、先輩の声が聞こえてくる。どうして。貴方は何処かへ行った筈じゃありませんか。それとも、僕の幻聴?


「 まーふくーん。寝てたら先生に怒られちゃうよ〜。」


僕は、何かの異変を感じて、ばっと顔をあげる。

辺りを見渡すと、あのカーテンは、相変わらずふわふわりと綺麗に舞っていて、僕の前には先程まで読んでいた"夢喰い"という本が置かれていた。


「 あ、やっと起きたな〜?全く、寝不足は駄目だよ〜? 」


声に驚いて隣を見ると、何処かへ行った筈の先輩が座っていた。僕は先輩の言葉と、先輩の姿を見て目を見開く。そうか、僕は寝ていたのか。あれは、夢。


「 どうしたの?まふくん。阿呆っぽい顔してる。」

『 …煩いです。阿呆っぽいって言わないで下さい。』

「 御免って〜、まふくん。冗談だから。何時も綺麗な顔してるよ? 」

『 それはどうも。』


良かった。あれは夢なんだ。こうやって、しょうもないことを言い合っているのが、現実。

もう一度、僕は先輩を見る。それは、何時も見ている先輩と、大好きな先輩と、一つも変わり無かった。なんだ、何も起こっていないじゃないか。

僕は安心して、口を開く。妙に、寝起きの癖に頭は冴えていた。


『 僕が図書室で寝るなんて…不覚です。』

「 ま、疲れてたんじゃなあい?そういう時は、誰だってあるよ。」


先輩はへらりと、あの夢のように笑った。僕は、何だか嫌な予感がして、目の前の本を取って自分の鞄に入れた。先輩は、本の事は何も触れずに、頬杖を付きながら、僕に話しかけた。


「 ね、どんな夢見てたの?もしかして〜、私の夢? 」

『 さあ、どうでしょうか。覚えてないです。』

「 覚えてないのか〜…残念。今からまふくんに言いたいことあったから、それの正夢でも見てるんじゃないかな〜って、勝手に予測してたんだけど。」


僕は、焦って先輩を見る。やはり、あの夢のように、哀しそうな顔をしながら、僕に微笑んでいた。

僕は先輩の、細い腕を強く掴む。先輩の驚いた顔なんて、配慮してる暇が僕には無かった。


『 どっか行っちゃ…嫌です…先輩、何処にも行かないで下さい!!ずっと、ずっと先輩と一緒に居たいです!先輩の事、好きなんです…大好きなんです!!だから…何処にも…行かないで… 』


驚いた先輩の大きい綺麗な目には、泣いて更に醜くくなった僕が映っていた。

先輩は、相変わらず微笑んでいた。それが哀しそうなのかは分からなかった。

sm:恋のゲームは難しいっ!!…from りねん。→←mfmf : 正夢か、逆夢か… from 夕焼



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作者名:りねん。× 夕焼.*゜ x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年5月15日 9時

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