先生だって生徒だって恋に溺れる【歌い手合作】 (ページ11)

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「『…………。』」

移動教室で誰も居ない私のクラスに来て、しばらくの沈黙の後千羅が口を開いた。

「………ごめん。」

「俺、Aが志麻くんとそういう事しとる、って根拠もないんに言われとるんが嫌やってん……。
気付いたらAを助けなあかん、って本能で動いてしまって……。
抱きしめてしまってごめん。」

『いいよ、千羅は私を助けようとしてくれたんでしょ？その気持ちだけで、私は嬉しかったよ。』

「…………A。ごめん……。俺、謝り切れん事したやんな……。」

『、何が？』

「志麻くん、途中から居ったんよ…。
勘違いされたかもしれへん……。」

『っ、あ………。』

「ほんまにごめん…………。」

『………千羅のバカｯ、！何でｯ、！』ｸﾞｽｯ

「ほんまごめん……。」

チャイムが鳴ったような気がしたが、今はそんな音も耳に入らなかった。

あの状況で勘違いされた、となると思い浮かぶ関係は1つしかなくて。

志麻先輩に嫌われたかもしれない。
志麻先輩のなかで、私はもうただのモブかもしれない。

そう思ったら涙が止まらなくて。

千羅の胸を借りてひたすら泣いた。

そして、今は放課後。

あの後、散々質問責めをくらったが、特に何も起こることなく授業を受けた。

「本当に、大丈夫なの？」

『やだなぁ、大丈夫だって言ってるじゃん！心配しすぎ！』

「なら良いけど…。なんかあったら連絡してね！？絶対だよ！？」

『はいはい、分かったよ～。』

「もぉ…。んじゃね。」

『んー、バイバイ』

帰り道、ﾋﾟｺﾝｯとLI○Eを知らせる通知が鳴った。

見てみると志麻先輩で、 “話したいことあるから7時半な。” という文章だった。

やっぱり、誤解されてるのだろうか。

私は “了解です！” とだけ返し、スマホの電源を落とした。

7:30。

志麻先輩から電話が掛かって来た。

『、もしもし？』

「もしもし、Aちゃん。」

『はい。』